黄色の想い
[#da=2#]はそれから、週に1、2回ほど、夕方に戸部の仕事を手伝い始めた。
もっとも、外に遣いに出すようなことはせず、戸部の中、大概尚書室か侍郎室での書類整理や雑用、柚梨との点検にお茶出しぐらいに過ぎないが、見込まれた通り根を上げることもなく、粛々とこなしていた。
ただでさえ猫の手も借りたい戸部、桃華を気に入っている柚梨は大賛成だったし、出入りしていることで女性だからとかいう声は全く上がらず、
周囲も楽しそうにやっている。
お茶休憩は時折戸部官吏話すこともあれば、柚梨と鳳珠と3人で話すこともありささやかな楽しみとなっていた。
仕事が残っていても、ある程度の時間で柚梨か鳳珠が帰りは送ることにしている。
噂になるのは時間の問題だろう。
案の定、ひと月ほど経つと戸部内にこもっていても話が出始め、帰りを狙って噂の真相を探る馬鹿どもが増え、柚梨だと話しかけられて面倒ということがわかり、「あなたなら誰も話しかけないでしょ」と言われて
鳳珠が送っていくこととなった。
柚梨の見立て通り、仮面姿に話しかけてくるものはいない。
ここまで噂になればそろそろ黎深が動き出す頃かと思ったが何も言ってこない。
いつかの話では、桃華は紅家に連なる者と言っていたし、邵可殿が後見で黎深の邸で育ったというなら秀麗ほどではないかもしれないが黎深もそれなりに溺愛しているだろう。
少し面倒だが・・・後見が邵可殿ならまだなんとかなるかもしれない。
自分の気持ちが育ちつつある鳳珠は、少しずつ、頭の中でこの先の準備をしていく。