黄色の想い
いくつか部署を回った後、[#da=2#]は最後の訪問先である戸部へ向かった。
前回より少し遅めの時間である。
「失礼いたします。」
いつものように挨拶をして足を踏み入れると
いつものように景侍郎がにこやかに返してくれる。
「[#da=2#]殿、いらっしゃい。書簡預かりますよ」
みれば、尚書と侍郎が立ち上がってどこかへいく様子である。
「あの、これからお出かけですか?それでしたら決済は後日受け取りに参りますので」
「いえ、いつもの宝物庫点検ですよ。私が一人で行きますので、黄尚書はこちらのお仕事を・・・」
「よければ、宝物庫点検を手伝っていただけないか?」
「「えっっ」」
あまりの驚きに二人の声が揃った。
「ほう・・・黄尚書、[#da=2#]殿は他にもお仕事があるでしょうから・・・」
「いえ、仕事はないんですけれど、女ですし、部外者のわたくしが行かせていただくのは・・・」
「私がいいと言っているのだから問題ない。3人いた方が早く終わるだろう」
といい、スタスタと先に出て行ってしまった。
柚梨と[#da=2#]は顔を見合わせて、後をついていくしかなかった。
特に無駄話をするでもなく粛々と宝物庫点検は進み、3人だった分、普段より早く終わって戸部に戻る。
「あんなにたくさんあったのですね、みる機会がないのでいい勉強になりました。ありがとうございました」
[#da=2#]は二人にお礼をする。
「こちらこそ、手伝っていただいたのでいつもより早く終わりましたよ!
ありがとうございます。」
「少し、休憩していくといい。」
尚書室に通されて、そこに座っていろと前回と同じ椅子を指して一度出て行った。