序章〜1
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遠くを見つめていた月華は、一日前のことを思い出していた。
「あなたが月華姫ね。私は旺飛燕よ。あなたが行く世界のことを少しお話ししておきましょうか」
綺麗な仕草で茶を飲みながら、飛燕は話し始めた。
旺季以外の彼を取り巻く世界について。
一人の盟友と、三人の息子。
それ以外にも息子たちはいるが、特にこの三人が重要だと。
「一人は国試を受けて入朝しているから、表向きは関わってはいないし、ほどなく遠くに行かれると思うわ。私がこちらに来るときに文をいただいたの。名前は鄭悠舜殿。それはともかく、あとの二人が厄介で…いつも桃を持っているのが凌晏樹殿、優しい顔をしているけれどなかなか悪い人よ、もう一人は葵皇毅殿。こちらは顰めっ面だけど…根は優しいわ、多分。」
少しだけ、葵皇毅と言う人の話をするときに、飛燕姫の表情は柔らかくなるように感じた。
それから、盟友だという孫陵王と、そのほか数人の名前を聞いて心の中に留めておく。
話の最後に、飛燕はもう一度言った。
「月華姫、お父様と…皇毅さんをよろしくね」
「皇毅さん‥」
「そ、皇毅さん」
「その方が、貴女の大切な方なんですね」
飛燕は柔らかく微笑んだだけだったが、月華にはそれは肯定の印ととれた。