序章〜2
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(ごくご近所には千景を通じて食糧を配った…けど、まだ葵家や旺家をはじめ、貴族派の預かりの分をとっても十分に余りある…)
準備を早くしすぎていたのか、管理をしていた官給田の米の蓄えは思った以上の在庫となっていた。
葵邸と旺邸に移し、あらかた配分し終わった後の在庫を見た月華は、旺季と皇毅に使い途の確認をした。
ついでに、旺季にはあることをお願いして一筆書いてもらう。
余りは配るなりして好きに使っていいと許可を得てから、千景にいくつかの依頼ごとをしてから数日後、報告を聞いた月華は、用意を始めた。
目的の地に昼間は少女が働いていると聞いたので、陽が傾き始めた頃を見計らって、なるべく質素な服に着替え、これまた質素な俥で下町に向かう。
ところどころの炊き出しの列を眺めながら、どんどん奥にすすんでいく。
千景の情報から、紅東区の方では紅家の人があれこれと動いているという話だったが、おそらく焼石に水だろう、まだ民衆は落ち着いてはいない。
「お嬢様、このあたりは…」と小声で心配してくる護衛に
「いいから、ついてきてください」と伝えて、まっすぐ前を見据えた。
「着きましたわ」
そこは、貴陽一の妓楼、姮娥楼だった。