序章〜2
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旺季と皇毅は盃を傾けながら、それとなく近況を話していく。
聞きながら、特に必要ではない情報だと判断した月華は、明後日の方向を見ながらぼんやりと別のことを考えていた。
「月華にはつまらない話だったな」
旺季がそれに気がついて、声をかけてきた。
「いえ…お仕事のお話はあまり聞かない方がいいかと思いまして」
ふぅ、っと旺季はため息をついた。
「お前。本当に5歳なのか?何か欲しいものとかないか?」
と突然水をむけてくる。
月華は少し考えてから、「それでは…」と口を開いてから少し間をおいた。
「なんだ、衣か?おもちゃか?」
旺季の問いにフルフルと首を振る。
「月華はあまりその手のものに興味がないようですよ。旺季様から預かった翌日に買い物に行った時も、特に興味を示していなかったので」
「そうなのか?」
不思議そうな二人の視線を受けて、はて?と月華は首を傾げた。
「そういうわけではないですけど…お色は選ばせていただきましたわ。それよりお義父様、皇毅様、公休日で、お時間のある時で構わないのですが、教えていただきたいことと、それとは別にお願いがありますの」
「なんだ」
「お義父様から琴の琴を教えていただきたく。それから、官給田の管理をさせていただきたいのと、霄瑤璇殿、茶鴛洵殿との面会をお願いします。宋隼凱殿は…どちらでもいいです。あぁ、あの方は第六王子とご縁がありますから、敢えてこちらから近づかなくても良さそうですね」
「・・・」
5歳児らしからぬお願いに、二人はきっちり鐘三つ分固まった。
「霄瑤璇、茶鴛洵には近づかせたくないですね」
旺季の代わりに皇毅が答えた。
「そう、でしょうね。でもお義父様の味方にもなりませんが、明確な敵にもなりませんよ。特に霄瑤璇殿は。あの方が見ているのは…”王”のみです。茶鴛洵殿には政のことを習えればそれでいいかと思っております。あと、彼の奥方とやりとりをさせていただきたく、そのために先に面識を持っておきたいのです。」
「なぜそれがわかる?そしてなぜ茶鴛洵の奥方と?」
月華はすっと目を細めて声を変えた。
「いやですわ”皇毅さん”、わたくし…」
「っ…」
旺季と皇毅の表情が変わったのを楽しそうに見て。
少し溜めてから月華は口を開いた。
「縹家の娘、ですもの」
肩を揺らしてクスクスと笑う。
それでもどうにも5歳には見えないが、それでも月華が二人の前で楽しそうに笑ったのは、これが初めてだった。