序章〜2
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翌日の夜、旺季邸に前日の話を皇毅と月華は話に行った。
「誰が、どう、仕掛けると思う?」
旺季は多少の見当をつけているのか、探るような表情で二人を見てきた。
皇毅が月華を促す。
「・・・後宮にはいない人、ただ、御史台で調べても最終的な物証は出てこないと思われます。縹家と組むなら、なおさらです。そしてわたくしの先見だけでは証拠にならず、おそらく、お義父様でも捕まえることはできないでしょう」
月華の答えに、はぁ、と旺季はため息をついた。
(この能力は有り難くもあるが厄介だ)
どうやら自分の考えは見当はずれではなさそうだ、と旺季は考える。
仮に”先見”の力を使ったとしても、この短い期間に後宮の勢力図を調べ上げ、組み立ていくのはまた別の話だ。
どうやら、縹家で受けてきたのは相当な教育と言っていいだろう。
「”後宮”は魔窟だからな。派手に動き回っているのは目の前の蝿でしかない。逆に、そこから出た方がなんとでもできる、か…」
「旺季様は、月華の言うことを信じる、と?」
皇毅が少し目を細めて聞いてきた。
「月華が言う通りあと一年か二年…だとしたら、その種はすでに撒かれているだろう。私の今の仕事を半分振って、皇毅に当たってもらうしかあるまい。月華は”雲”だったな…女官見習いになってもらうにはまだ幼すぎるか…」
「後宮への出入りは侍童のままでは難しいでしょうか?いつかもっと先に、後宮に出入りする機会がやってきた時のために、女姿ではない方がよろしいかと」
「”それ”も”力”か?」
「いえ…これはなんとなく、です」
皇毅は旺季と月華のやりとりを、昨日見た書き付けを思い出しながら聞いていた。
「確かに…のちの事を考えて、か…”小さすぎる侍童”と背格好が同じになるから、女姿は隠しておいた方がいいかもしれない。今回の件は私の方でやろう。雲としてその姿のまま、遣いとして動け」
「かしこまりました」
「さぁ、話はここまでだ。せっかくだから少し付き合え」
旺季は人を呼んで酒を持って来させた。