序章〜1
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「お父様をお願いね。晏樹さんは危ういし、悠舜さんは難しい。お父様を頼めるのは皇毅さんだけです」
おそらく、今の自分は、こんな時であるのに、眉ひとつ動かさず、じっと彼女を見つめているだろう。
言いたい言葉はいくらでもある。
かけてやるべき言葉も。
一つの信念を持って、行かせる手筈を整えたのは自分だ。
「・・・」
心の中で深呼吸をして、
全ての気持ちにもう一度、蓋をした。
しかし、此の期に及んで、行かせたくないという思いが、蓋をした心の奥底から悲鳴のように湧いてくる。
だがもはや、覆すことはできない。
「皇毅さん、さようなら…」
綺麗にひとつ微笑んだ彼女。
記憶の中ではこのまま背中を向けて歩き出したはず…だが、綺麗な微笑みの前に、ガラガラと落石が重なり、彼女の微笑みは石に埋まって見えなくなった。
そして、それを境に、自分の世界から色は消えた。
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