第七章〜VS◯◯
名前設定
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「わたくしが…悠舜様の妹になる…これからは悠舜お兄様とお呼びしないといけませんわね」
春麗は悠舜に向かって綺麗に微笑み、黎深は悠舜に殺気丸出しで睨みつけた。
「悠舜様のお心遣いと皆様の御了承に感謝いたします。それはさておき…戸籍の件はそれでいいですけれど、鄭姓を名乗るのは、これから生まれる悠舜様のお子様のこともありますし、奥方様にご了承頂かないといけないことですわね」
「私の代わりに黎深が言ってしまいましたけど、もとより、そのつもりでしたから。すでに話してあるから大丈夫ですよ」
悠舜の答えに、春麗と黎深以外の周りは驚いた。
「そうでなければ黎深が言い出した時に、私が遮りましたよ」
悠舜はいつものふわふわとした笑みを浮かべている。
「ったく、くだらんな」
皇毅が小さくつぶやいた。
「とはいえ、後でそれが原因で揉めるという事は避けたいのです…何か…そうですわね、別の名字をいただくというのはいかがでしょうか?」
春麗はどうかしら?と邵可と黎深に向かって聞いた。
「白薔薇ちゃんは面白いこと考えるねぇ」
「好きにしろ、名字はいくらでもある」
「黎深、春麗の父親は私だよ。それに今は当主もね」
邵可は春麗のことで黎深とやりとりするときにお約束になっているセリフを言った。
「私は鄭姓で構わないんですけどね、妻も了承していることですし。でもそれが気になるようでしたら他の姓でも構いませんが…私は身寄りもないのはご存じでしょう?一体、何を名乗るんです?」
悠舜が春麗に問いかけた時、ちょうど遠くで、午の鐘がなった。
「では…紅家当主へ折り入ってお願いがあります」
そう言って春麗は立ちあがって邵可に礼を取った。
悠舜ではなく、邵可に。
顔を上げた春麗は、纏う雰囲気が一瞬にしていつもの春麗らしからぬものになった。
「わたくしに…紅門姫姓をください」
その一言に、悠舜と皇毅は言うまでもなく、春麗以外全員の顔色が変わった。