第七章〜VS◯◯
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黎深はパサりと扇を開いて口元に当てた。
それは、朝議でよく彼がとっていた仕草で、周囲は少し懐かしいものを見たような気になった。
「そもそも、
「黎深、言い方。それに、決めるのはあの子だからね」
「兄上、それでもです。そして春麗を
ふふっと悠舜が笑った。
「春麗殿の力量はまだまだこの国には必要です。それはここにいる皆様はご理解いただいていると思いますがね?」
霄が「その通りじゃ」と相槌を打つ。
「ふんっ」
黎深は横を向いて吐き捨てるように言った。
わずかな沈黙の後、現当主の邵可ではなく、再び黎深が口を開いた。
「ならば春麗、悠舜の妹になれ。鳳珠もそれなら文句はないだろう?」
突然の黎深の発言に、周囲はポカンとした表情になった。
「ふぅん、妹、ねぇ。養子じゃなくて」
「あぁ、凛姫にもうすぐ子が生まれるからねぇ」
俊臣と文仲が茶のおかわりを要求しながら感想を述べる。
春麗は立ち上がろうとしたが、話題の渦中にもあったのでリオウが手で制してから代わりに淹れた。
「主上が婚姻後に籍を変えたとなっては面倒だけど、今それを行う分には成立するね。今すぐ婚姻ってことでもないだろうし。そうだろう、皇毅?」
俊臣は静かに言ってから皇毅とリオウを見た。
「あぁ、飛んだ茶番だがな。だが本人のやる気からすると、今すぐと言うことはないだろうし、今から仕込んでおけば先になればなるほど成立するだろう。いつの時代もうるさい輩はいるだろうけどな」
「俺は、その案は賛成だ」
「…私は妻に、紅家直系の姫だから春麗を、と望んだわけではない。私は春麗の戸籍がどう変わっても私の妻でいればそれでいい。邵可殿と春麗が決めればいいだろう」
鳳珠の発言にハッとして、春麗は邵可をーー正確にいえば、邵可の肩越しに遠くを見てから瞳を閉じた。
その春麗の様子を見て、邵可が口を開いた。
「私は、悠舜殿と鳳珠殿と春麗がよければそれでいいよ、黎深」
鳳珠も気がついて、春麗の手をとりキュッと握った。
パチパチ、と瞬きをしてから鳳珠の顔を見て薄く微笑む。
(これは何か確認したに違いない)
「気になることがあるのならはっきりと言うといい」
鳳珠は春麗に促した。