第七章〜VS◯◯
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春麗は悠舜に言われた通り全員分の茶を淹れる。
リオウが申し出てくれて手伝ってもらった。
その間に、それぞれ席につき、茶が配られたのを見計らって、悠舜が口を開いた。
「さてー今日お集まりいただいたのは他でもありませんが。我が君の将来についてです」
「嫁取りか」
フォフォフォ、と霄が間髪入れずに笑う。
「主上は妃は一人と決められていますからね。おそらく、それが実現するかどうかはわかりませんが…私が尚書令に就く際に申し上げた通り、妃となられる方には、”外戚の政治介入を許さないこと、というのがあります。仮に藍家から貴妃がきた場合は、藍姓官吏は揃って退官してしまい、今は直系は藍楸瑛殿だけ…それも勘当された扱いになっていますので、まぁ何とかなるでしょう」
ここで悠舜は区切った。
もはや、何を言い出すかをー紅家当主がいる時点で、全員が把握していた。
「紅姓官吏はたくさんいるけど、黎深がやめちゃったから直系は二人だけだねぇ。そして二人とも女の子だ」
俊臣が眠そうに春麗を見ながら少しのんびりと答えたのを受けて、先を察した文仲がボソッと言い放った。
「他の姓を名乗れば解決じゃないか?」
「だが、それだといって、血が切れるわけではないだろう。現にリオウの時は旺季様は退かれた」
皇毅は反論した。だが「理由はそれだけじゃないだろう?」と俊臣に嗜められて、それ以上の発言を飲み込んだ。
(この件で口を出すのは諸刃の剣か…ならなぜ悠舜は私をこの場に入れた?)
眉間に皺を寄せて厳しい表情で悠舜を睨みつけた後、目を閉じた。
「ですが、やはりそれが一番無難でしょう…そこで、当主である邵可殿、それから鳳珠、ついでに黎深。私から提案です。」
悠舜は三人をじっと見た。
「春麗殿に、やはり黄姓を名乗ってもらうのが一番いいかと思いますが、いかがでしょうか?」
「・・・」
(主上が秀麗を望んでいることは高官の中では周知のこと…)
春麗はそのままそっと、鳳珠を見た。
「別に私は構わないが」
鳳珠はなんということもない、という顔で答えた。
悠舜にはこの答えがわかっていたのか、柔らかく羽扇で自分を仰いで微笑んだ。
「先の件で黄家攻略にいった際にですね、当主からその話を預かっていたんですよ。紅家には返さん、とね。ですが最終的に決めるのは春麗殿です。私は官吏としての春麗殿にはやっていただくことがたくさんあると思っていますし、まだ知られていない力があるでしょう。私はいつか起こることであろうことに対しての紅姓からの変更であれば、別に黄姓に限ったことでなくてもいいと思ってますけどね」
邵可と黎深の目の色が変わった。
春麗の秘密は鳳珠しか知らないはずだ。
そして鳳珠が他者に話すとは考えにくい。
”鳳麟”はそこまでわかるのか、と邵可は一段厳しい表情になり、黎深はしばらく悠舜を見つめた。
だが春麗の持つ”力”は、ある意味、”鳳麟”を超える。
「ダメだ」
答えたのは黎深だった。