序章〜国試編
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春麗は一度礼部に戻り、魯尚書へ報告とこれからの対策を話し了承を得てから、兵部へ向かった。
「孫尚書、御在席でしょうか?紅春麗、入ります」
「おぅ、どーした?珍しいな」
煙草をぷかぷかとふかしながら、孫陵王は出迎えた。
「けほ…なんで窓閉め切っているんですか?空気悪いですねここは」
「ったく、うっせーな。いーんだよ、煙草のいい香りが充満するだろう?」
ニヤニヤと笑いながら、咳き込む春麗を見て兵部侍郎の司馬迅が自ら窓を開けた。
「で、何用だ?俺の方がイイ男だから黄奇人から乗り換えるってか?」
「お戯れを…国試受験生の見張り武官のことで、ご相談が」
春麗はかいつまんで受験者たちからの要請を伝える。
「件の女人官吏については、現場を押さえられていないのですが、とりあえず別棟送りにします。で、関わった武官の名前を控えましたので、こちらについては入れ替えをお願いしたいので、ご許可を」
「女の一人や二人抱いたって、別にいーんじゃねぇの?」
「孫尚書…職務中ですよ?ましてや、国試ですよ?」
迅が口を挟む。
「それは、さすがに、ダメだな…わかった。耀世と雷炎と詰めておいてくれ。あとは任せる」
「ありがとうございます。それから、その女人受験者なんですけど、後見が凌晏樹殿で…」
「はぁぁ??なんたって晏樹が??迅、お前何か聞いているか?」
孫陵王は思わず立ち上がって詰め寄った。
迅はあまりの剣幕にタジタジっと後ろに後ずさってから「知らないですよ、何も。晏樹様の考えることはよくわかりませんからね」と答えるのが精一杯だった。
「そうですか、孫尚書でもご存じなかったですか…」
ありがとうございます、と言って、春麗は出ていった。
「しかし、とんだ受験者ですね」
「だから女人官吏はロクなことがねーから反対したんだよ。紅春麗や紅秀麗みたいな方がトクベツって思った方がいいかもしれないな」
「でもまぁ、男も玉石混合でしょうから、女だって同じかもしれませんね」
迅は少し前に色々あったでしょ、と礼部の話を引き合いに出した。
「確かにな…しかしまたなんで晏樹が…」
プカリ、と陵王が吐いた煙の輪が空に消えた。