第六章〜VS晏樹2
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(ほぅ、あの皇毅にも物おじしないというのは本当のようだな)
旺季は玉蓮と皇毅の様子を見て、少し感心してから意識を隣に向ける。
「晏樹、こちらにも噂が届いている。お前がそのお嬢さんを本気で気に入って嫁にでも取りたいというなら、景侍郎には正式に私から申し入れてやるが?」
「えっ。旺季様、なんでそうなるの??」
「凌晏樹が景侍郎の娘にご執心で、毎日毎日追いかけ回していて、お陰でお嬢さんも所属の吏部も仕事にならない、という迷惑を被っているという報告を受けているが?」
旺季はいくつかの書簡を懐から出した。
「刑部尚書以外の六部尚書が悠舜に宛てたという正式な申入書と、尚書令からのお前に一度送ったという警告状の写し、それから御史台の報告書だ。悠舜と皇毅からこれを持って相談された。あぁ、それから陵王からも進士時代にお前から何やら依頼があったと話があったなぁ…研修で意地悪したんだって?」
「ひどいよ、そんな!悠舜と皇毅まで!!ましてや旺季様に言い付けるなんて!」
晏樹は掴みかからん勢いで皇毅に向かって文句を言っている。
「景玉蓮に絡みまくっていたのは事実だろうが。御史台で捜査するまでもなくわかりやすすぎたが、あまりに毎日で仕事にもならん」
皇毅は表情ひとつ変えずに淡々と言い放つ。
「で、どうなんだ、晏樹?私は可愛い息子のために一肌脱いでやろうと思っていたが?」
「旺季様…ひどい…」
「そうじゃないなら、もうこのお嬢さんに絡むのはやめなさい。お前が思うところはあるのは理解しないでもないが、私はそんなもうそういうことに関わる立場でもないし、気にはしていない」
「・・・」
(三人の様子が少し変わった?)
晏樹は明らかに落胆した様子で、皇毅と悠舜はわかりにくいがほんの少し、気持ちが落ちたような印象を玉蓮はうけた。
(今の発言は、どういう意味なんだろう・・・この前の謀反とやらのことかなぁ)
頭の片隅で考えながら、顔だけは大人たちの方に向ける。
ややあって、晏樹が小さくため息をついた。
「わかったね。晏樹?」
「・・・はい」
旺季は少しにこやかな表情でひとつ頷いてから玉蓮にむかい
「すまなかったね、これでもう大丈夫だと思うから…」
と伝えた。
「はい、ありがとうございます」
もう一度、玉蓮は綺麗に跪拝した。
「さてと、晏樹は仕事に戻ってくださいね、それから旺季様、もう一ヶ所よるところは、私と皇毅でお送りします。皇毅一人だと何を言われるかわかりませんからね」
「あぁ、すまない」
「景官吏は吏部に戻っていいですよ。あ、劉尚書に今のやりとりを伝えておいてください」
悠舜はそこまで言ってから、玉蓮の耳元で小さく囁いた
「鳳珠と景侍郎には私から言っておきますから」
「かしこまりました。では皆様、本当にありがとうございました。こちらで失礼いたします」
もう一度きちんと跪拝してから、玉蓮は立ち去った。