第六章〜VS晏樹2
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その日の夕方、吏部の資料室に玉蓮の姿があった。
裏向きの、というより吏部にある特別ば貴族録の存在を教えてくれたのは珀明だった。
「見たところで凌晏樹については何も出てこないけどな…それでも気になるようだったら見てみろ」
そう言われた。
まずは、自分の家と黄家、紅家など七家について読んでみる。
確かに、表向きの貴族録よりは裏向きの方が詳しく書いてある。
(でも、春麗ちゃんのお母様についてはどちらも名前だけで詳しい言及がない…碧官吏が言っていた”何も出てこない”ってこういうののことなのかな)
続いて比較的近いと思っている人ー鄭悠舜、葵皇毅、凌晏樹についても同じだった。
(ハチマキさんは紫門四家なのに族滅にあっているんだ…しかも全員自決、ってハチマキさんはどうして生き残れたんだろう?)
今の自分より若い年齢での出来事と知り、玉蓮は小さく身震いした。
(父様や母様、弟たちが死んでしまって自分だけが生き残るってどういう気持ちだろう…)
この時代は色々合ったと聞いてはいるが、玉蓮にとっては体験したわけではなく、近い歴史の中のことだ。
物心ついてからはほぼ平和になり始めたあたりだったので、死と隣り合わせの生活はあまり実感していない。
ましてや、集団自決という形での死など、想像の域でしかない。
玉蓮は重いため息をついた。
(それに引き換え、鄭尚書令とフワフワさんの記述がなさすぎる)
裏に何かあるのだろう、ということはわかるが、自分如きが探ったところで何も出てこないのは目に見えている。
もしかしたら、鳳珠や黎深に聞いたら何か出てくるかもしれない、とも思ったが、それを知ったところでどうということでなし、と書いていないことについては深追いしないことにした。
(とりあえず、家が絡んだ遺恨ではなさそう、ということがわかっただけ少し気が楽になったかも…)
最後に、もう一人、気になった名前の頁をめくった。
”旺季”
晏樹、皇毅、悠舜の三人に共通する人の名前。
結構長い記述がある。最近のところで見ると、どうやら、孫である仙洞令君が王様の養子になったことで、政からは外れたらしい。
ここまで読んでから玉蓮はパタン、と本を閉じた。
(あとの確認は帰ってからにしよう)
本を元の位置に戻して、資料室を立ち去った。