第六章〜VS晏樹2
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案の定、戸部にはいったら鳳珠の怒りが爆発している最中だった。
「あぁよかった、春麗ちゃん。鳳珠を止めてください。玉蓮のことで実は…」
「それでしたら、同期の珀明さんから今朝聞いています。鳳珠様、これまでのことを分析するところから始めましょう。相手はあの凌晏樹殿です。迂闊に出るのは危険ですわ」
「っ…」
当然怒りは収まらない鳳珠であったが、春麗のいうことも一理あるかととりあえずドスン、と音を立てて座った。
春麗も出仕の段階であれこれと考えて混乱してもいたので、自分と鳳珠を落ち着かせるために花茶を淹れる。
その間に、柚梨が今までの経緯をかいつまんで話した。
「なぜか大半は葵長官と碧官吏を中心とした吏部の方、時折、鄭尚書令が助けてくださっていたみたいですね。あ、玉蓮の話だと、一度だけ紅尚書…っと、黎深殿が助けてくださったとか」
「はぁ?黎深が何しに来てたんだ?」
「なんでも、鄭尚書令に用事があってきた、そうですよ。それはともかく、鄭尚書令が”対策を打った”とおっしゃっていたようなんです。それが何かは玉蓮も知らないみたいですけどね。そんなわけで、今、凌長官に突撃するのは得策ではないかと…」
「そうか、悠舜が、か…ということは…」
(旺季が出てくるか?)
鳳珠は顎に手を当ててふむ、と息を吐き出した後、「しばらく様子を見るか」とだけ答えて、出された茶を飲んだ。
「だが、なぜ葵皇毅が玉蓮を助けていたんだ?」
「さぁ…あの子は”ハチマキさん”と呼んでいるみたいで、割と懐いている感じでしたね。あの葵長官に懐けるというのもなんともあの子らしいというか…」
柚梨は不思議そうに首を傾げている。
「玉蓮姫は柚梨様もですけれど、鳳珠様の関係で高官に慣れてますからね、それに、葵長官はぶっきらぼうですけれど真面目ですし実は優しいですよ?タイプは違いますけど、鳳珠様みたいなところがありますわね」
「一緒にするな」
一段下がった不機嫌な綺麗な声がして、春麗は少し肩をすくめたが、柚梨は思い出したように続けた。
「玉蓮も同じこと言ってましたよ。葵長官はぶっきらぼうだけど優しい、ほーじゅ様みたいだって」
「チッ…」
さらに一段下がった不機嫌な舌打ちに、柚梨と春麗は顔を見合わせてそっと笑った。