第六章〜VS晏樹2
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鳳珠と春麗が宮城に戻ってきた。
朝の通勤時に、春麗は珀明からいない間の玉蓮の受難について聞かされた。
「ほんっと凌長官、迷惑なんだよ。俺ら毎回、景玉蓮の捜索隊たぜ。とはいえ、遣いに出さないというわけにも行かないから、最近は戸部、工部、礼部となぜか尚書令のところに限り一箇所ずつ劉尚書が指示して、捜索しやすくはしているんだけどな」
「まぁ、そこまで酷いことが!」
「ここ直近は、鄭尚書令や御史台の葵長官が連れて戻ってくることもあるんだ」
「高官自ら、と言うより…凌長官とお親しい方が助けてくださっている感じね。確かに、彼女は進士の時から目をつけられていたし、景侍郎のお嬢さんだし…」
(鳳珠様が知ったら激怒する姿が目に浮かぶ…もう劉尚書あたりから言われてるかもね)
春麗ははぁ、と大きくため息をついた。
「でもなんでそこまで絡まれるのかしら?正直、わたくしの時とは状況が違うと思うのですけれど…」
「お前の場合はなんだったんだ?」
「すべては言えないですけどね、一つは初めての女人官吏であったこと、それから紅家直系、上位合格、貴族派と国試派の対立、その他諸々・・・」
「ざっと聞くだけでうんざりするな」
「でも…」
春麗は一度立ち止まって遠くを見てから、フルフルと頭を振った。
「玉蓮姫については、例の対立以外は気になるところがない…そこまで根深いものだとは思わなかったけれど」
「対立ってなんだ?」
「あ、えっと…まだ碧州の蝗害が怒った時に、欧陽侍郎が軍を要求したんです。その時に、羽林軍が王の元を離れるのはおかしい、と柚梨様が仰って、それに凌長官が噛み付いた・・・ということがありましたの。でも、あれは意見の相違、というだけで最後は尚書令の判断で羽林軍を出すことを決められたので、凌長官の狙い通りだったはずなのですけれど…」
「なんだよそれ、それが気に入らなくてちょっかいかけているとしたら私怨じゃないか。最も、景玉蓮の評判が仮に落ちたところで、景侍郎にとっては影響ないだろうけどな」
「どう、でしょうね…?」
(でも、それこそ鳳珠様はじめ、悪夢の国試組が玉蓮姫の
春麗は、ハッと顔を上げて一点を見つめた。
「もしかして…」
(新たな、火種?・・・だとしたらかなり厄介な…でもどうして?)
「おい、大丈夫か?」
眉間に皺を寄せて黙り込んだ春麗に、珀明が心配そうに肩に手をかけて覗き込む。
「あ、えぇ…大丈夫ですわ」
一つ大きく深呼吸する
「いずれにしても、もう少し様子を見る必要があるかもしれませんわね」
春麗はふぅ、と息を吐き出してから、「いきましょうか」と珀明を促して足を出した。