第六章〜VS晏樹2
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「いた!景玉蓮!!」
少し離れた頃から叫び声が聞こえて、バタバタと官吏が走ってきた。
玉蓮はそちらに目を向けながら内心ほっと息を吐き、誰がきているか確認をした。
(あ〜今日は碧官吏…)
「お前、何やってるんだ?劉尚書が探してたぞ?」
「すみません、少し前から凌長官につか…いえ、話しかけられまして…」
「そうか。これはお話中に騒がしくしまして失礼いたしました、凌長官。劉尚書から至急、景玉蓮を呼んでくるようにと言われまして」
「あのさ、今、僕と話してるの、君わかってるよね?」
凌晏樹は苛立たしげに迎えにきたという碧珀明を見た。
珀明は礼を取って頭を下げているので表情は見えていないはずだが、明らかに舌打ちをしそうな顔から体裁を整えた表情に戻して、顔を上げた。
「工部へ使いに行っただけなのに一刻近く戻ってこないと言うことで、次の用事が控えているため探しにいくようにとのことでした。大変失礼いたしました。」
ふぅん、という面白くなさそうな表情を見たが、珀明は気にせずに続けた。
「まだ凌長官が何か御用があるようでしたら、その旨を劉尚書へ伝えさせていただきますが、いかがでしょうか?」
晏樹は珀明を上から下までじっと見る。
特に怯むことなく、まっすぐ自分を見ていた。
(碧家のボンか、この僕に怯まない姿勢は誉めてもいいかもしれないけど、楯突くなんて感じ悪いな)
「いや、もういいよ」
くるりと踵を返した。
「では、失礼致します」
珀明と玉蓮は礼をとり、同じように踵を返して歩き始めた。
「あの、碧官吏、ありがとうございました」
「なんだって彼の方に毎日捕まっているんだ?」
「わからないんですけど、どうもうちの父と朝儀で揉めたことがあったらしくて…と聞きました。でも本当のところはよくわからないのです。いつもどこからともなく現れて話しかけられて…少なくとも、私のこと気に入らないのだろうということは察していますけど、はぁ…」
玉蓮はガクッと肩を落とした。
「いつでも俺たちが助けられるわけでもないかあなぁ、と言って、あれだけの高官に話しかけられて逃げるわけにもいかないし。そういや春麗もよく絡まれていたな」
「やり過ごすのが一番いいかと思っています。皆様には迷惑をかけてしまいますけれど…」
「あぁ、無碍にもできないだろう。さっき、劉尚書から正式に本人と尚書令に苦情を入れるという話も出ていたから、少し改善するといいな」
「そうですか…ありがとうございます、それなら劉尚書にもお礼言わないと」
あぁ、と珀明が頷いた時に、ちょうど吏部に着いた。