第五章〜VS晏樹
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要件を済ませてから失礼します、と退室した玉蓮を見送ってから、悠舜は「それにしても」と切り出した。
「あなたがあの子に目をかけるのも不思議ですね」
その表情は、どこかふふっと笑っているようだった。
「子供だからと言って容赦するつもりはない…景侍郎が何かしでかすとは思えないが、黄奇人や紅春麗にも近いだろう、あの時のこともあるから、念のための確認だ。清雅にやらせてもよかったが、揉めたときに面倒だ。晏樹の横槍は想定していなかったけどな、結果的に清雅では晏樹は止められんから良かったかもしれないな」
「そう、ですか。ま、戸部は全く心配ないと思いますけどね。でもそれなら、そういうことにしておきましょう」
悠舜はまだ何か言いたそうだったが、一度話を区切った。
「ところで、一つ話があるんですが?」
と、上がってきた女人医官制度の上奏文を手渡す。
皇毅は黙って受け取り、ペラペラとめくって確認をした。
「なるほど、な…」
「秀麗殿のことをよく知っているあなたから見たら面白いでしょう?」
「カナブンにはできない芸当だな」
「またカナブンだなんて…結構お気に入りじゃないですか。秀麗殿のことは、皇毅に頼んで本当によかったですよ。でも、あなたは春麗殿のような裏を読める官吏の方が好きかも知れませんけどね?なんだかんだ、能力が未知数にも関わらず、先ほどの景玉蓮も気に入っているようですし」
しばらく皇毅は何も言わなかったが、小さくため息をついてから口を開いた。
「まぁ、三者三様だからな…景玉蓮は今はまだ子供だ、晏樹に楯突く心意気は買うが、御史台では使えない。色仕掛けなぞ無理だろうからな。それから…これはいいんじゃないか、これからどちらも女人官吏が増えていくことを考えると、反対するところはない」
フッと呟いた言葉を聞いて、
「まぁ、親子ほど歳は離れていますからね…」
と答えながら、悠舜は(素直じゃないな)と心でため息をついた。
「で、これを朝議にかけると?」
「えぇ、あなたが言うようにこれからのことを考えると、反対する必要はないと思います。旺季様が資陰制でも女人官吏を、と進めた手前、反対できる人はいない、とも思います、が…」
「晏樹か?」
「えぇ」
「最後は尚書令殿の一存だろう?お前が決めればいい…が、敢えて私に見せたということは、貴族派との対立構造を作りたくないということか?中立は晏樹の役割だろう?」
悠舜はちらりと皇毅を見てから、口の端だけで笑ったのをみて、皇毅はため息をついた。
それを返事と受け取った悠舜は優雅に羽扇を揺らしながら、
「あなたが賛成してくれて助かりましたよ」
ともう一度言った。