第五章〜VS晏樹
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玉蓮は大切に包みなおし、それから少し談笑していたところにざざっと足音がする。
二人は音の方へ視線を向けた。
「お、や?珍しい組み合わせだね?」
(でた!ふわふわ男!!)
玉蓮はさっと立ち上がり礼をして下を向いた瞬間に、あからさまにいやな顔をした。
「何話してたの?僕も混ぜてよ」
「女同士の秘密の話ですよ、凌晏樹様。座ったままで申し訳ございません」
座っていたため玉蓮の表情が見えた凜が、軽く礼をしながら機転を聞かせて躱す。
「あぁ、いいよ、凜姫はそろそろ動くのが大変だろう?で、何話してたの?」
「だから秘密です。何か御用ですか?」
「いや、楽しそうな声が聞こえたからね、何してるのかなーと思って」
懐から出した桃を、ポンと机に置く。
「これ、あげるから教えてよ」
顔を起こした玉蓮と凜は不思議そうな表情で桃を見た後、眉間に皺を寄せて晏樹を見た。
「何、何?二人してそんな怪訝そうな顔して!飛び回ってるお嬢さんみたいな顔しないでよ!やだなぁ!」
「飛び回っているお嬢さん、って…秀麗殿のことですか?」
「そ、僕が桃あげるから、っていうと、へ〜〜んな顔するんだよね。ちなみに、紅春麗には間髪入れずに断られた。あの子、可愛くないな」
晏樹が悪態をついた時、がさっという音がして、玉蓮が視線をずらした。
(なんでいつもふわふわさんが来ると、ハチマキさんも来るんだろう…)
玉蓮は一瞬ポカンとしたが、すぐにそちらに向かって礼を取って待つ。
程なく、頭上から声がした。
「お前は桃をあげればなんでもいうことを聞いてもらえると思っている方が大間違いだ」
「皇毅…また僕の後を追いかけてきたのかい?」
「お前はふらふらしていないで仕事しろ、それと、女人官吏がいるたびに絡むのはやめろ」
「えぇ〜いいじゃーん。むさ苦しいところにお嬢さんたちがいたらお話ししたいじゃない?皇毅だってなんだかんだ言ってすぐに僕の後に来て話してるじゃん」
(確かに、いつもくる…)
玉蓮は頷きそうになるのを必死で無表情で留めた。
「二人とも、戻りが遅くて叱られたら、
「え、皇毅ひどい!」
「お二人とも、仲がよろしいようで。ではそろそろ行きましょうかね」
凜が一言言ってから立ち上がり、玉蓮を促した。
「葵長官。ありがとうございました、失礼致します」
ペコリとお辞儀をしてから去った玉蓮の背中に向かって、「なんで僕には礼がないの〜?」という呑気な晏樹の声が聞こえた。