第五章〜VS晏樹
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「おいお前、目の下にクマなんかこさえて、何やってるんだよ?」
朝の待ち合わせで飛龍に言われた玉蓮は「夜鍋をね〜」とほわっとあくびをしながら答えた。
「夜なべ?何だそれ?」
「んー、ちょっとね、裁縫を…」
「裁縫、ねぇ。貴族のお姫様はそういうこともやるんだな」
「紅侍郎の刺繍みたいに
「尚書以外に、誰か知り合いいたか?」
飛龍は少し考えるがピンと来なかった。
「一度お会いしたことがあったんだけど、工部研修の時に、尚書令の奥様の柴凜殿とお話ししたから、ご相談しようと思って。発明家なんだよ」
「あぁ、あの方か…飛翔兄に捕まらないように、気をつけろよ」
コクっと玉蓮は頷いてから、「それにしても眠いなぁ」と呟いた。
午休みに工部に顔を出すと、目当ての柴凜は何やら帰り支度をしているところだった。
「もうお帰りですか?」
玉蓮は声をかけてからお辞儀をした。
「あぁ、玉蓮姫か。まだ帰らないけれどね、これから医官のところに診察に。場合によってはそのまま帰れと言われるかもしれないから、支度をね」
(官吏は子供ができると宮城で見てもらえるのかな?)
疑問符がついた玉蓮に、「私に用だったら歩きながら話そうか?」と凜が促した。
「本当は邸の近くのお医者さんに見てもらっていたんだけれどね、最近、女人医官の制度について上奏した子たちがいて、そこに女人官吏が妊娠した場合は宮城の医官が見ることも可能、という条項があったらしいんだ。それを管尚書が見て、早速私をそこで、と手配してくださった。あぁ、医官は工部の管轄だからね、上奏はまだ通ってないけどそこは尚書の力で多少の融通が効く、というわけで」
「そうなんですね」
「初めは嫌がられていたけれど、いい前例になるから、と尚書がゴリ押ししてくださって」
「あはは」
(ゴリ押しっていうか、従兄弟尚書さんに凄まれたら断れないよねぇ。それにしても、上奏かぁ…)
玉蓮はちょっとだけ乾いた笑いをしたのを見て、凜も笑った。