第五章〜VS晏樹
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玉蓮は帰邸してから食事も早々に室に引きこもった。
遅くに帰ってきた柚梨は、妻から「なんでも、これからしばらく夜は忙しくなるからって伝えておいて」と言われたと聞いて、首を傾げる。
(夜が忙しくなる、って一体何でしょうね?吏部が仕事を持ち帰るとも思えませんし)
割といつでも忙しい吏部だが、今が突出して忙しい時期とも思えないし、自分よりは早く帰っているし、”夜が”というのも気になったので、とりあえず玉蓮の室の前に行き、声をかける。
「とーさま?いま忙しいからお仕事の話なら後にして!」
と声だけ聞こえてきた。
「いや、仕事の話ではないが、なにしてるんだ?」
「あぁぁぁ!!入っちゃダメー!みちゃダメ!!」
え?と柚梨はポカンとした。
未だかつて、玉蓮にここまで拒否されたことはないので、衝撃を受ける。
(これは…反抗期?それとも誰かいるのか!?)
大した家ではないが、一応、使用人もいる貴族の家に忍び込んでくることはそう簡単ではないだろう、と冷静に思い直してから「なぜ?」と問いかける。
「時間がないの、出来上がったら見せるから!」
(出来上がったら…はて?何か作っているということか)
柚梨は首を傾げながら弟のところに聞きに行くと、なんでも布を抱えて帰ってきた、ということだったが、何を作るかは聞いていないという。
(まぁ、何か作っている、ということだったら、いずれわかりますかね)
とはいえ、娘もだんだんお年頃と言われる年齢が近くなってきている。
一瞬、春麗に相談しようかと思ったが、今はいないことを思い出してガクッと項垂れた。