第五章〜VS晏樹
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珀明に命じられて書翰周りから帰ってきた吏部の前に、一人の男が立っていた。
(あれ???もしや…)
「景玉蓮か?」
(やっぱりユーレイさん!!)
ぺこり、とお辞儀をしてから「お久しぶりです、姜長官」と口を開く。
「書翰周りか、頑張っているようだな」
風呂敷の大荷物を見て、少し気の毒そうな表情になった。
「尚書に御用ですか?多分この時間はお客様は入っていなかったと思いますが…どうぞ」
荷物を下に置いて扉をあけ、文仲を促した。
一見、幽霊にしか見えない中書省長官を見て、吏部内は少しざわついた。
珀明はすぐに判断し、さっとお辞儀をする。
軽く片手を上げて、文仲は「志美、入るぞ」と声をかけて尚書室に入っていった。
すぐに志美が「景玉蓮!」と呼びつける。
書翰の風呂敷を自分の机案に置き、さっと尚書室に入ってお茶の用意をした。
二人の前に置いて、邪魔にならないように一礼して出ていく。
「お前、景侍郎の娘をこき使っているのか?」
「こき使ってるなんてやーね、そんなじゃないわよ。景侍郎のみならず、鳳珠も春麗ちゃんも鍛えてあげて、って言ってくるから、吏部の中でも将来有望な若手につけたし、時々様子を見るのも兼ねて、手伝いをしてもらっるのよ。今のところいじめられたりとかはなさそうだけど、噂じゃ凌晏樹によく絡まれているみたいだわ」
「凌晏樹になぁ…何かやらかしたのか?でもまぁ、そういうことなら構わないが…あれは使っているというんじゃないのか?」
言いながらお茶に手を伸ばし口をつけた文仲は、「紅州紅茶か、うまいな」と一言漏らした。
「で、何の用事よ?」
文仲は書翰を一つ、志美に渡した。
「女人医官制度について?なにこれ?」
「紅男の姪と、吏部の碧珀明の連名の上奏文だ。実は昨年一度出したらしいのだが、どうも門下省に潰されたようでな」
「あー、旺季様、女人官吏も反対だったみたいだしねぇ」
「おそらく、潰したのは凌晏樹だろう」
フゥン、と言いながら志美は煙草を口に咥えて、書翰を開く。
「へぇ、後宮も味方につけた、ってことね。悪くないんじゃない?碧珀明、やはりできるわね」
「あぁ、これは通してもいいかと考えている…医官となると工部がキモだが、飛翔は女人官吏の時に大反対していたみたいだからな…」
「でも、これからのことを考えてたら、必要になってくるじゃない。貴族派丸め込むために資陰制での女人官吏登用も始めたんだし、悠舜の奥方使ってあれこれやってるんだから、もう反対はしないんじゃない?」
「確かに、な。だが医官となると…」
「それを相談しにきた、ってわけね?そこは飛翔に任せるしかないんじゃない?」
「そうだな、飛翔に先に話しておくか」
それがいい、と志美が同意して、この話は終わった。
「ところで、秋の除目に向けて…まぁ決めるのは悠舜になるんだけど、そろそろ中央に戻したいのが一人いるのよ。文仲の下なんてどうかしら?」
「誰だ?」
名を聞いて、「もう少し詳しく」と文仲は身を乗り出した。