第五章〜VS晏樹
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「えっ?来週から春麗ちゃんたち、いないの?」
玉蓮は帰邸してから父親の柚梨に言われた言葉に驚いた。
「あぁ、休みを取ることになってね、黄州に帰って結婚式ですよ。」
「うわぁ、ほーじゅ様と春麗ちゃんだったら、綺麗だろうなぁ〜」
玉蓮はキラキラと目を輝かせてから、「でも、みられないのかぁ」としょんぼりした。
「こっちに戻ってきてから、宴だけ開くようにと言っていますから、きっと何かやるでしょう。その時は玉蓮も連れてくるように、と鳳珠から言われてますから、春麗ちゃんの花嫁姿は見れますよ」
「よかった!楽しみだなぁ」
玉蓮は機嫌を直してニコニコと笑った。
「父様、今更だけどお祝い何かしなくていいのかな?」
「そうですね…あの二人、意外と物には執着ないし、鳳珠はなんでも持っているし買える人なのでね…春麗ちゃんはわからないけれど、紅
家の姫といっても贅沢に育ったわけではないようですし…」
「うーん・・・何か贈りたいなぁ。碧官吏に相談してみようかなぁ」
「碧官吏に?」
「うん。春麗ちゃんと仲がいいから、どういうものが好きか聞いてみる」
いいことを思いついた、という風な娘を見ながら、柚梨は(果たしてそういう会話をあのふたりがしているか?)と疑問に思った。
翌日、朝早くに出ていつものように吏部の掃除をしていたら、珀明が出仕してきた。
「碧官吏、おはようございます。ちょっとご相談したいことがあるのですが…」
掃除の手を止めて、早速玉蓮は話しかけに行った。
「ん?なんだ?」
「あの、来週から紅侍郎たちがお休みをされるそうなんです。黄州に戻って結婚式をするとか」
「えっ?そうなのか?あいつ何も言ってなかったぞ!ったく…あとで確認しなきゃだな」
(あー、やっぱり)と玉蓮は少し遠い目をした。
「で、今更感がありますが国試の前からお世話になっている春麗ちゃんに何か贈り物をしたいと思っているんです。でも何が好きかとかよく知らなくて。碧官吏はお親しいからご存じかと思って聞いてみました」
と、本題の質問を伝えた。
「そんなこと言われてもなぁ。あいつとはほぼ仕事の話しかしないし…うちの玉殿のようにあまり装飾品も付ける方ではないしな…」
「装飾品…あ!ありがとうございます!ちょっと方向性思いつきました!」
「え?今ので、か?」
「方向性、だけですけどね…」
テヘヘ、と笑ってからペコリとお辞儀をして、玉蓮は掃除に戻っていった。
「ふむ、結婚式、か…そういや、俺も何もしてなかったな…」
珀明はその場で立ち尽くしてからハッと我にかえり、すごい勢いで文を3通書き、急いで出しに向かった。