第五章〜VS晏樹
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その日の終業後、春麗は凜の邸を訪ねた。
「おや、黄尚書もご一緒だったのか?」
「相変わらず悠舜は帰っていないのだな。不在時に申し訳ない。春麗が、凛殿が何やら面白いものを見せてくれる、と楽しそうにいうので着いてきてしまった」
「構わないですよ、早速お見せしましょう」
コトリ、と音を立てて卓の上にそれを置いた。
「それは…玻璃だな?」
「はい。何をする道具に見えます?」
「見当がつかんが…下と上に何か入れるところがあるな」
「説明するよりみてもらったほうが早いかな。ここに水を入れて、ここに茶葉を入れる…」
言いながら水と茶葉をセットし、小さな蝋燭を下に置いて火をつける。
しばらく待っていると、コポコポと音がした。
「割れたりしないんですか?」
「あぁ、これは熱がかかっても大丈夫な玻璃なんだ。茶州にいる時から設計はしていたんだけれど、材料がなかなか手に入らなくてね、貴陽に来てからようやく作れた」
横にある大きな機械でお茶を淹れながら凜が説明する。
鳳珠はその機械の方に行き、興味深げにみていた。
「あ!鳳珠様、ご覧になって!」
楽しげな春麗の声に戻ってくると、先ほどまで水が入っていたところが、茶に変わっていた。
「ほぅ…これは面白い」
淹れてもらったお茶を飲みながら、三人は話をした。
「たくさん入れるにはあっちの機械が楽だが、一人二人分ならこれで良いだろう」
「本当に…これをお願いしてしまって良いのでしょうか?普通に淹れたのと少し違う気がしますが、お味としては普通に美味しいですね」
「あぁ、昼間話した通り、使ってみた感想を教えてほしい。間に挟んでいる布を洗うのだけが手間だが、仕掛ければ手を離して置けるのが良いと思ったんだ。売れそうだったら商品化する」
「黄家が聴きつける前に出したほうがいいだろうな」
凜と春麗の会話を聞いて、鳳珠が口を挟んだ。
「あまり知られていないが、黄州は玻璃の加工が得意な工房がいくつかある。そこと組めば少し原価が抑えられるのではないかと思うが…必要であれば紹介する」
「黄尚書、ありがとうございます。ぜひそうさせてください」
「帰った時に手配して連絡しよう。春麗、それを渡すときに、商品化が決まっているから手を出すなというを忘れないようにしないとな」
「はい」
春麗は約束通りにお代を置いて鳳珠と帰路についた。
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凜の発明品はサイフォンをイメージしていただければ嬉しいです(星蘭)