第五章〜VS晏樹
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同じ頃、玉蓮など吏部の新進士たちは劉志美吏部尚書の前に並ばされていた。
それぞれ、誰につくか、どのような役目を与えられるか一人ずつ指示されている。
どうやら、上位及第者以外の者たちは、班分けのみで雑用から始めることになったらしい。
(吏部の上位及第者は三名…あまり話したことない人たちだけどうまくやっていけるかなぁ?)
同期からは「子供が」「親の七光り」などと言われているが、吏部官はそんな瑣末なことを気にしている暇はないのか、何も言ってこない。
だがその実は、吏部はある意味、慣れているだけだ。
一年前までは尚書、侍郎、尚書補佐が一族という特殊な状態であったため気にしていないのと、紅黎深吏部尚書時代の徹底した実力主義の中で選ばれた一族の侍郎と尚書補佐ということをわかっていたので、”できる者”と認められれば、出自はそれほど問われないのだ。
「景玉蓮は碧珀明についてしっかり学ぶように。それと、尚書補佐もお願いしたい」
「えっ?」
と玉蓮でも並んでいた進士たちでもなく、聞いていた吏部官から声が上がった。
「あぁ、と言っても、戸部の紅春麗のような補佐、ではなく、あくまで吏部内の雑用とかだな。深い意味はない」
劉尚書は周りに向かっていって黙らせた後、「よろしくな」と玉蓮に向かって言い、それに呼応する形で玉蓮は礼をした。
その後、玉蓮はすぐに珀明のところに行った。
「よろしくお願いいたします、碧官吏」
「あぁ、戸部の爺からもよろしく頼むと言われているから、しっかりしごいてやるからな。とはいえ、まずは雑用からになるが」
「はい。ところで、戸部の爺、とはもしや…?」
「碧遜史だ。俺にとってはじいみたいなもんだからな。戸部研修の時にお前がついたと言っていたぞ。俺は爺みたいに手取り足取り教えるつもりはないから、よく見て学べよ。だが、まずは必要な知識は説明するから、やりながら話そう」
(あぁ、やっぱりおやつをくれた碧官吏のことか…)
玉蓮は思い出してにっこりと笑ってから、はい、と表情を引き締めた。