序章〜国試編
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三人は玉蓮の室に戻った。
「これ、片付けないとですねぇ」
ビリビリに破かれた料紙をまとめる。
幸い、書籍は大して持ち込んでいなかったのもあり、山を崩された程度だった。
「玉蓮、俺の料紙を少しやるよ。筆も貸してやる」
「そうですか…海星くん、ありがとうございます。では、お言葉に甘えて一本お借りしますね」
「親父さんに連絡して、差し入れてもらった方がいいんじゃないか?」
「でも、心配かけてしまいますから…それに、本番で使うものは、別に用意してありますし、それは無事ですから、お借りしておきます。どこかで新しいの、お返ししますね」
玉蓮はありがたそうに筆と料紙を受け取った。
「おい、別に用意してある、ってどういうことだ?」
「こんなこともあろうかと、本当に大切なものは隠してあるんです。どこにあるかは、飛龍くんでも海星くんでも教えられません」
悪戯そうに笑った玉蓮を見た海星が
「まぁ、そのぐらい笑えるんだったらよかったよ。それにしても、あの武官はいけませんね…」
「あぁ、どこかで官吏に伝える機会があるといいんだが」
遠くで、あの女がキャーキャー騒いでいる声がした。
「きっと、ありますよ」
三人は顔を見合わせた時、再び高らかな笑い声を耳にし、少しゲンナリした表情になった。