第四章〜研修編3
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翌日の朝、春麗は珀明に理由を言わずに用件を伝えた。
「なるべく早めに例の法案を出しに行きたいところですわね。姜長官に面会の依頼を出しておこうと思いますが、珀明さんはお時間取れそうですか?」
「あぁ、頼んだ。決まったらなんとしても合わせるから教えてくれ」
それから二人は、どんな感じで説明していくかについて語り合っているうちに、あっという間に宮城に着いた。
中書省長官・姜文仲との面会の依頼は、その日のうちについた。
夕刻になってから、春麗と珀明は連れ立って中書省に行く。
「姜長官、お忙しいところお時間をいただきましてありがとうございます」
春麗が挨拶をする。
「吏部下官の碧珀明です。今日はありがとうございます」
「紅男の姪からの面会依頼だから他を優先したが…吏部の子もついてくるとはね」
文仲の発言に、珀明が少しだけ嫌な顔をした。
「あぁ、嫌味で言ったわけではないよ。二人でくると文に書いてあったからわかっていたがね、連名での上奏とは聞いていたけれど、実際本当に連名で行うというのは珍しいから、少し驚いただけだ。大抵はどちらか一人が書いて、上書きだけ連名ということが多いからな」
文仲にしては少しだけ柔らかい表情で珀明に話しかけた。
「それにしても…」
春麗を上から下まで見る。
「紅男の姪も紅いのだな?」
「あ、あか、お??この前もおっしゃってましたが…」
「黎深のことだ」
「あぁ…」
(確かに、紅い。でもなぜ、紅男??)
妙な疑問がついたものの、気を取り直して春麗は背筋を伸ばした。
「お願いしたいのはこちらの法案です」
春麗が一冊差し出す。
「以前も上奏したのですが、その際は朝議にかけられることなく、却下されてしまったようで…」
「ふぅん、女人医官の制度、か。以前、ということはおそらく門下省で見ていた時だろうな…」
文仲はそれを潰したであろう相手の顔を思い浮かべ、表情を暗くした。
珀明が一歩前に出て口を開いた。
「紅春麗もそうですが、今年も数名、女人官吏が国試で入っています。また、これから資陰制でも入ってくるでしょう。後宮女官からも、女人医官の
「そうか…わかった。よく読ませてもらおう。二人は…同期だったかな?」
「はい」
「そうか。同期に仲間がいるのは…いいものだろう。また何かあったらくるといい。必ずしも通せるというわけではないが、きちんと公平に判断はしよう」
「ありがとうございます」
二人は少しホッとした表情でお辞儀をした後、退出した。