第四章〜研修編3
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帰邸後の食事の時になってようやく鳳珠は休みについて話を始めた。
「”しばらく休む”って?…?どういうことです?」
「五丞原の戦いの前に言っただろう。春麗の礼部の方がひと段落したら…休みをとって、二人きりになれるところへ、旅に出よう、と。忘れてしまったか?」
春麗はパァッと明るい表情になった。
その様子を見て、鳳珠はフッと口の端を上げた。
が、春麗は小首を傾げて聞いた。
「覚えていますけれど…しばらく、ってどのぐらい?」
「あまりゆっくりできなくて申し訳ないが、2週間ぐらいを想定している。往復、何があるかわからんから二十日と言った。悠舜、魯尚書と柚梨には実は事前に話して許可ももらっているから問題ない。三人からはもっとゆっくり休め、と言われたがな」
「まぁ…」
「そういうことだから魯尚書と仕事の算段はつけておいてくれ」
「かしこまりましたわ。戸部は柚梨様に負担がかかってしまいますわね…」
「柚梨からは春麗のために一ヶ月は戻ってくるなと言われたけどな、まぁそういうわけにもいかないだろうが、何があるかわからないから曖昧に答えてある、一応目安は先ほどの通りだ」
春麗は再度鶏湯に匙を持っていって、一口飲んだ。
「それで、どちらに行かれるのです?」
「紫州と黄州の堺にある、黄家が運営している高級旅館があるから、そこに数日。それから…一日移動した先は…黄州の実家だ。式をできていなかったから、やっておきたい。邵可殿には話して了承をいただいているし、黄州まで来てくれるそうだ」
「えっ!!??いつの間に??」
ガタッと春麗は立ち上がった。
「この前、一緒に帰っただろう?その時に話しておいた」
「け、結婚式…??聞いてませんけど…いつの間に…というより、いいのかしら?」
「いいのかしら、っていいに決まっているだろう。春麗は私の妻なんだからな。以前は貴陽で秀麗のいる時に、との話だったが、いつ帰ってくるかわからなくなってしまったし、そう
なんでもないことのないように、鳳珠はまた言った。
「でも今から衣装の準備とか…間に合わないですよね?なんでもっと早く言って下さらなかったの?」
「その心配はない、すでに用意してある。春麗が嫁いできたときに衣を作っただろう?その時にしっかり瑞蘭が手配している」
「…聞いていませんけど?」
ストン。と座ってため息を一つついた。
「いや、なのか?」
鳳珠は心配になって春麗を覗き込むように見た。
「いやとかではないですけど…なんか急なことだったので色々気持ちがついていかなくて…」
「柚梨から春麗の花嫁姿を見たいと言われているから、帰って来てから宴だけもう一度やることになると思うが…」
「わかりましたわ…お義父様たちにお会いするなら、お持ちするものも用意しないとですわね…」
黄州に挨拶に行けていないことは気になっていたが、急に言われて、いざすぐに行くとなると少しだけ気が重くなって、春麗は心の中で小さくため息をついた。