第三章〜研修編2
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吏部に入ると、いつぞやきた時と変わらず、なかなかの怒号が飛び交っていた。
「あ、碧官吏!」
玉蓮は珀明を見つけて声を掛ける。
「お前、またすごい荷物だな。今日はどこの遣いだ?」」
「礼部です。紅侍郎から、たんまり渡されました。今日も尚書へお渡しするものがあります」
「そうか。あいつ、戸部育ちのせいか、黄尚書と同じ仕事の振り方するからな…気の毒に」
「確かに、おんなじ口調で言ってましたね。でもまぁこれぐらいまでなら大丈夫ですよ、黄尚書も紅侍郎も本気で持てない量はいいつけませんから」
「そっか、なら構わないけどな。今なら尚書、いるはずだから声かけてやるよ」
珀明に案内されて、トコトコとついて行き、挨拶をして尚書室に入る。
珀明が出ていってから、志美は徐に玉蓮に声をかけた。
「ご苦労様…って、その量、また鳳珠の遣い?」
「いえ、今は礼部の研修していて、紅侍郎からです」
「紅侍郎…って春麗ちゃん?あらやだ、あの二人、似た者夫婦なのね」
「決裁不要ですが早めに見てほしい、とのことでした」
志美は書翰にちらりと目を通した。
「ねぇ、悪いんだけど、その荷物配り終わったら、戻る前に寄ってくれる?少し気になることがあるから、それをまとめておくので春麗ちゃんに渡してほしいんだけど」
「かしこまりました、では後ほど伺います」
玉蓮は丁寧にお辞儀をしてから、尚書室を出た。
「あれ?碧官吏?」
「終わったか?お前、吏部研修はいつになるんだ?」
「さぁ?公休日の前の日に、次はどこ、って言われるんですよね。だからまだわからないんです」
「そうか…課題は決まったか?」
「いえ…どうしていいか正直迷っていて。目星はつけているんですけれど…」
騒然とした吏部の状況を見ながら、「ところで、吏部はいつもこんな感じですか?」と尋ねた。
「あぁ。担当は中央と地方に分かれていて、除目は高官以外は春は中央が中心、秋は地方が中心で配属を決めているが、一年中割とこんな感じだな。できる人も多いが、文句の多いやつも多くてな…やることやってから言え、って思うが」
「そうなんですね…希望や査定の時期は決まっているんですか?」
「査定は確かにあるが、希望ってどうなんだろうな?時期は決まっていないな」
「ありがとうございます」
(課題、決まった!)
玉蓮はにっこりと笑ってから、
「後で来るようにと尚書に言われたので、先にこれ回って来ちゃいますね。ありがとうございました」
と言ってペコリとお辞儀をして、重い荷物にもかかわらず足取り軽く吏部を出ていった。