第三章〜研修編2
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「玉蓮姫に会うのは久しぶりだね。ちょうど一年ぐらい前か。及第おめでとう。旦那様もとても喜んでいたよ」
柴凜は工部にある自分の席にもう一つ椅子を持ってきて、そこに促しながら話しかけた。
「ありがとうございます。工部にいらっしゃったのでびっくりしました」
「ここは私のような官吏ではない…職人や協力者が多く出入りするところでね。以前、茶州で疫病があった時に、ちょうど年始の挨拶で貴陽にきていて手伝ったのがきっかけで、去年の春にこっちに移ってからは、ほとんどここにいるよ」
「もう凜さんは官吏みたいなものさね」
近くの席にいた人から声がかかる。
「あれ、でも…」
玉蓮の視線が凜のお腹に行ったのを見て、「生まれたら官吏として復帰してくれる予定なのさ」とさっきの工部官が教えてくれた。
「まぁまだ決まったわけじゃないけどね、流石に、私は国試は受けないが」
凜は微笑みながら、少し工部の仕事を話しておこうか、と説明をし始めた。
どうやら、今の所ここですぐにすることはないらしいが、書翰周りや雑用はやってほしいという話だったので、工部の仕事の説明をよく聞いておく。
意外と範疇が広くて玉蓮は驚いた。
その頃、尚書室での勝負は、一人目が完全に潰れたところだった。
「次は、お前だ」
二人目はビクビクしながら盃を手に取る。
「大丈夫だ、俺たちはもう酒の度数を上げているが、いきなりぶっ倒れても困るからな。初めはこれからだ」
と、どうやらこの中では度数が低めのものから注がれる。
「い、いただきます・・・」
と二人目の犠牲者になることが確定している進士も、そっと口をつけた。
午もとらず飲み続ける。
二人目はその後少しして、もう無理です…と横に転がった。
それを見た飛翔は三人目の男に盃を渡しながら、
「お前の見ていた通り、こいつはずっと飲んでたぜ。これで、管飛龍は優遇されたなんて言わないだろう?」
と言いながら注ぐ。
「はい。いただき、ます」というのが精一杯の三人目も、犠牲者への道を歩み始めた。
夕刻を待たずして、三人目も倒れたのはいうまでもない。
「・・・というわけで、管飛龍殿は管尚書がまだ手放さず”魯尚書に謝っておいてくれ!”だそうです。残りの三人は工部で屍になりました」
研修後の魯尚書の授業に唯一出られた玉蓮はことの次第を説明した。
魯尚書は苦い顔をしていたが、大方想像していた通りだったので「わかった」とだけ答えて、「では、いる者だけで講義を始める」と言って、その日は進めた。