第三章〜研修編2
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「おはようございます。本日よりお世話になります景玉蓮です」
「管飛龍です。朝の掃除に参りました」
ペコっと二人揃って頭を下げて工部に入る。
「はえーんだよ。まだ誰も来てないぜ」
パッと二人は頭を上げて、顔を見合わせる。
目の前にはだるそうにした管尚書が一人いるだけだった。
「奇人から、この二人が多分掃除にくるって聞いてたから、早く出てきたんだよ。用意しておいたぜ。そこに掃除道具と袋があるから、適当にやっておけ。木屑や埃が散るから、掃除中は窓開けておけよ」
「はい!」
(朝からお酒飲まされるかと思ったけど大丈夫だったね)と小声で話していたのが聞こえたのか、
「酒は後でだ。魯尚書の朝の仕事が終わってからだな」
と声が飛んだところから、ばっちり聞こえてしまっていたらしい、と知らぬ顔を通し、黙々と掃除をした二人だった。
新進士たちが並んで挨拶をすると、工部の管飛翔尚書は、どん!と酒瓶を出してきた。
「ようこそ工部へ。まずは俺と勝負しろ」
「・・・」
噂で事情を知っていたにも関わらず、その通りの姿に新進士たちは絶句した。
沈黙を破ったのは、女人の声だった。
「管尚書、見ればそちらのお嬢さんはずいぶん若い。年齢的にまだ身体も発達途中だから、酒はやめておいた方がいいだろう」
見ると、凛々しい姿の女人が一人、こちらを向いて立っていた。
(あれ?確かこの方…?)
不思議そうな顔で見ていた玉蓮に気がついたのか、その人は近寄ってきた。
「私は柴凜、工部の手伝いをしている発明家だよ」
「よろしくお願いします」
やっぱり!と気がついて玉蓮はペコリと頭を下げた。
「ったく、凜殿に言われちゃ仕方ねーな」
(あれ?従兄尚書さん、引き下がった?)
玉蓮はぱちぱちと瞬きしてから、「ありがとうございます」と飛翔と凜にもう一度頭を下げた。
「じゃ、景玉蓮は凜殿の手伝いをしてくれ。その隣から、一対一の勝負だ…と言いたいところだが、その隣の奴と、管飛龍、お前もだ。俺が身内に手加減したと言われないように、初めから飲んでおけ」
どん、と盃を前に置かれた進士たちは、逃げることはできなかった。