第三章〜研修編2
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春麗たちが店を出ると、目の前で進士の四人が仮面姿の夫と話していた
「あら」
「黄尚書!」
珀明がさっと頭を下げる。
「今日は休みだから構わない。この四人が歩いて帰るというから、危ないだろうという話をしていたところだ。新進士はいいカモだ」
(まぁ、主に玉蓮姫に向けて、ってところなんだろうけど…)
「俺たちが送っていくから大丈夫ですよ」
「…俺もついて行こうか?」
「珀明さん?」
「小動物その2なら、黄東区だろ?ここからそんなに遠く無いだろう、腹ごなしにもなる。光泉殿と話すのも久しぶりだしな」
(小動物その2って…?)となる周りをよそに
「なんか珀明さんと龍蓮さんが合体した感じですわね」
と言いながら春麗は何やら考え込み「それもいいかもしれませんね」と答えた。
「じゃあ、申し訳ないけど珀明さんお願いします。これから父のところに行かないといけないので…お任せしてごめんなさいね」
「あぁ、構わん。じゃ、また明日な。黄尚書、失礼します」
珀明が頭を下げたのに合わせて、四人も同じようにする。
「はい、また明日ね」
春麗は軽く手を振って身を翻すと、いつものように鳳珠がエスコートした。
「黄尚書って普段はあんな
「っていうか、噂の仮面尚書ですよね、飛龍?確かにあの方が座っていたら怯む…」
「大丈夫だよ、確かに怪しい仮面だし仕事は厳しいけど、普段は年下の奥さんにベタ惚れのフツーの人だから」
玉蓮の一言に(仮面が普通か?)と四人の頭には疑問符がついたが、あえてツッコミはしなかった。
「ところで、初めてお目にかかりますよね、私は進士で白州から来た管飛龍です」
飛龍が珀明にきちんと挨拶をした。
「吏部の碧珀明だ。春麗から話は聞いている。工部尚書の従兄弟だろう?」
(まぁ、そう見られるよな)と飛龍は薄く笑った。
「光泉殿は久しぶりに会うな。祝いを述べる暇もなかったが、改めて榜眼及第おめでとうございます」
(ふぅん、綺羅綺羅従兄弟さんと光泉くんは、光泉くんの方が年上なんだぁ。確かに…)
「お二人は旧知の仲なんですね」
「碧門謝家は欧陽家よりは少し遠いが、書家の一家でな。光泉殿はその中でも一、二を争う腕前だ。国試など受ける必要はなかったのだが、どうして?」
「…私は体があまり丈夫では無いので官吏は無理と思っていたのですが…一昨年の茶州の混乱から始まる一連の流れを見ていましてね、碧門の官吏が極端に少ないことがどうも引っかかりまして…特に中央は異常に少ないので、配属がどうなるかはともかく受けてみようかな、と。珀明殿や欧陽玉殿の手助けができれば、と思いましてね」
「そうだったのか」
同じお家の珀明でも知らなかったのだな、と玉蓮はちょっと驚く。
「受けてみようかな、で榜眼かよ…」
と驚愕する飛龍の呟きに、みんながクスッと笑った。
「ところで、景進士が黄東区にお住まいと、どうしてご存知だったんですか?」
海星から珀明に質問が出た。
「あぁ、俺は紅春麗と一緒に登城しているからな。その時に、景侍郎の家が近い、と聞いていた。彼も黄州出身だからな」
「なるほど」
「時間のある時に、貴族録とか見ておいた方がいいぞ。まぁその前に、礼部の課題だろうけどな。今年は変なシゴキがない分、持ち回り研修で結構時間がないと聞いているから、早めに何を書くか決めておいた方がいいし、課題によっては配属も左右される」
珀明が先輩らしく話していたが、海星と光泉はなぜ紅侍郎と碧官吏が一緒に登城しているのかまで流石に聞けず、そっちが気になっていた。