第二章〜研修編1
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「ただいま帰りました」
「おかえりなさい、姉上!」
パタパタと弟が出てきて出迎える。
「疲れた顔してるねぇ、父様はもう帰ってきているよ?」
「うん、流石にちょっと疲れたかなあ、お腹すいたぁ」
「みんなで待ってたんだよ、早く食べようよ」
とぐいぐいと引っ張っられて廊下を歩く。
着替えてからね、と言って振り解いて、室に戻って進士服を脱いで着替えた。
「いただきます」
「はぁ、父様とちゃんと話するの、一週間ぶりだね」
「そうだね、戸部の研修だったから挨拶以外はあえて話さないようにしていたからね。どうだった?」
「ほーじゅ様、すごかったね。春麗ちゃんが”上位及第者から脱落者が出ないことを祈るのみ”って言ってた意味がよくわかったよ」
柚梨はすこし苦笑いをしてから、「特に玉蓮と飛龍くんには厳しかったですね」と答えた。
「やっぱりそうなんだー。でも、先に大変なのやっておいた方が、後が楽に感じるからいいかもね」
(玉蓮のこの前向きさは誰に似たのだろう?)
柚梨はものすごい勢いで食べていく玉蓮を見ながら、そんなことを考える。
思い返してみれば、一週間前は戸部研修中に一度ぐらい弱音を吐くかと思って心配していたが、そんなことは一切ないまま、それなりに楽しそうにしていたし…
「そういえば、随分、碧官吏と仲良くなったみたいだね?」
「あ、おじいちゃんみたいだったよ。吏部に行った時に、綺羅綺羅さんによく似た碧官吏にお世話になったんだけど、って話をしたら、おんなじお家だって聞いて、それから仲良くなったよ。よくおやつももらったんだ」
「そうですか、では公休日あけにお礼を言っておかないといけませんね」
「他の人には内緒に、って言われてたから黙ってたんだけど、いいのかなぁ…まぁ、父様ならいいかぁ…」
と呟く玉蓮に、弟がおやついいなぁと羨ましがった。
「ところで、明日は少しゆっくり休むのかい?」
「えっと、明日のお午、出かけてきてもいいですか?海星くんと、光泉さんと、飛龍くんとお午ご飯を食べることにしたの。情報交換するんだよ」
「おやまぁ、それはよかったですね」
「だから、おこづかいちょうだい」
(ちゃっかりしてるな)と思いつつも、ハイハイ、と柚梨は苦笑いしながら返事をした。
なんとか一週間目は無事に終わった、とホッとしたせいか、晩酌の進みもいつもより早かった。