第二章〜研修編1
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午休み。
食堂の隅っこで進士でまとまって座り、箸を突きながら互いの感想を言い合う。
「もう、戸部マジきついぜ!尚書は仮面でどんな顔してるかもわかんないし、一度に言い渡す仕事量ハンパないし、俺こんな雑用するために官吏になったわけじゃねーのに有り得なさすぎ!」
同じ班の一人の進士が言い出したら、他の二人も同調した。
「あんなの、侍童にやらせろってんだよな、書翰運んだり、荷物整理したり」
「お前らもそう思うよな?」
父親のこともあるので敢えて何も言わずに玉蓮は黙っていると、飛龍が代わりに答えた。
「でも、そういうのって誰かやらなきゃいけない仕事だし、書翰運びは宮城のこととか他の部との接点が作れていーんじゃないのか?」
「うん、そう思うよ。今日行った吏部で、一人顔と名前覚えてきたし、知っている人ができると心強いよね。それに、もしかしたら検算とか雑用は回ってくるかもしれないけど、いきなり国のお金の機密事項は研修中の進士なんかにやらせないでしょ?配属になればまた違うのかもしれないけどね」
モギュモギュ、と玉蓮は食べてから一気に答えた。
「うへぇ、よくやるよなー。お前、探花なんだろ?嫌にならないのかよ?言い渡されていた仕事だって誰より多かったじゃないか?」
「言われたときはおぉって思ったけど、意外と回ってみたらそうでもなかったけどね?」
コツ、と足音がしてふと顔を上げると、目の前に黄色い男が立っていた。
「ほぅ…景進士は先ほどの仕事は楽だった、ということだな…午後もしっかり働いてもらうから、そのつもりで」
(しまった、聞かれた…楽だなんて言ってないのに…)
玉蓮は横にいた柚梨に助けを求めるような視線を送ったが、”お気の毒に”という顔をされただけで、そのまま無言で立ち去ってしまった。
「いや、今の楽なんて言ってないよな、絶対…」
「うん…でも、そうでもなかった、って言っちゃったの、バッチリ聞かれちゃったね…」
「景侍郎、お気の毒に、って顔してたな」
コソコソと飛翔と玉蓮が話していると、「その分、俺らは楽できるかな」とという、仲間のなんとも呑気な声が聞こえてきた。