第二章〜研修編1
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「戻りました!」
玉蓮は挨拶をしてから戸部へ入る。
ちょうど、大机案の前に座っていた黄尚書の前に行って、吏部で決裁をもらってきた書翰と、府庫から借りてきた本を並べて渡す。
「ご苦労だった。管飛龍が資料室の片付けをしているから、手伝ってこい」
「かしこまりました」
ぺこり、とお辞儀をしてから風呂敷を畳んで懐にしまい、資料室に入る。
「お片付け手伝いに来ました〜」
「おぅ?玉蓮か!?助かった〜〜!後少しなんだが、言われた時間にギリギリでよー」
「あれま。では、急ぎましょう。えっと…あぁ、これが見取り図で、この番号のところに入れればいい、ってことですね」
「そうそう、上の方は俺がやるから、真ん中から下のやつを頼む。重いから無理すんなよ」
「わかりました〜」
ヨイショ、と掛け声をかけて、指定の場所に数冊ずつ持っていって、一気にしまう。
(これが終わったらもう一仕事やってお午かなぁ…)
流石に朝から掃除して、皿洗いして、宮城を走り回って…少しお腹空いてきたなぁと思いながら玉蓮はせっせと作業を進めた。
「終わりました」
なんとか指定の一刻に間に合って、飛龍は玉蓮を連れて尚書の前に出た。
次は、その間に届いた書翰の整理と、中身を確認して担当者に持っていく、ということだった。
(担当者に持って行け、と言われても…)
と二人が顔を見合わせていると、書翰の山の横に料紙が置いてあった。
どうやら、座席の配置図と名前、担当職務が簡単に書いてあるらしい。
「春麗ちゃん…」
玉蓮は見覚えのある筆跡に小さく声を漏らしてから、仕分けを始める。
(それにしても、随分と書翰の届くところなのね…他の部もそうなのかな?それにしても、さっき行った吏部や刑部と比べて、戸部は人が少ない…)
一人当たりにつき、だいぶ積み上がってしまう。
倒れないように丁寧に載せながら、仕分けが終わったので近いところから順番に持って行った。
(えっと、次は碧官吏…?あれ?碧官吏ってさっきの綺羅綺羅さんによく似た人と同じ名前だ…)
トコトコと持って行って、「失礼します、碧官吏」と声をかけると、思った以上にお爺さんが振り返ったので、ビクッとなってしまった。
「嬢ちゃん、ありがとうな、そこに置いてくれ」
言われたところにそっと置いた瞬間、玉蓮のお腹がググーーっとなった。
「フォフォ、腹が減ってきたか?嬢ちゃんはまだ食べ盛りだろうからなぁ…」
と笑いながら抽斗を開けて、小さなお饅頭を一つ取り出し、玉蓮に突き出した。
「午前中は休憩時間がないから、資料室でこそっとお食べ」
「えっ?よろしいんですか?」
「構わんよ。ただし、見つからんようにな」
フォフォ、っと笑って碧お爺さんは玉蓮の手に饅頭を乗せた。
「ありがとうございます」
お礼を言って、キョロキョロして見つかっていないか確認してから、とりあえず懐に入れると、碧官吏はまた笑った。