第二章〜研修編1
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玉蓮は今朝もなんとか時間内にお皿ノルマ終わったぁ、と伸びをしていたら、おばさんに声をかけられた。
「嬢ちゃん、今日から六部研修だろ?」
「そうなんです、私は戸部からになりました」
「あぁー、美人さんのとこだね、あそこ、大変だって言うから頑張っておいでね!」
おばさんたちに送り出されて、一度礼部へ行く。
流石に毎日あれだけの皿洗いをしていたら手荒れがひどくなってきたので、歩きながら春麗からもらった軟膏を手に塗り、刷り込んだ。
「それでは、参りましょうか」
玉蓮は自分の班の人に声をかけて、戸部へ向かう。
「失礼致します。本日より研修させていただく進士五名、入ります」
礼をして室に足を踏み入れる。
「お待ちしてましたよ、私は戸部侍郎の景柚梨です。黄尚書がお待ちです、こちらへ」
促されて大机にいた尚書の前に一列に並び、順に名乗っていく。
「わかった。早速だが景玉蓮、そこの書翰の山を整理しろ。それが終わったら書翰周り、工部に行って”昼から飲んだくれている暇があれば仕事しやがれ酔いどれ尚書”と言ってこい。それから吏部と刑部にこの書簡を届けろ。吏部は尚書に直接渡してその場で決済を貰ってこい。その後、府庫に行ってこの3冊返して続きを5冊もらってこい」
(おおおお!父様や春麗ちゃんが言ってたのはこれね!!)
玉蓮は一瞬びっくりした表情をしたが、ニヤッと笑って大ききな声で「かしこまりました!」と元気に答えた。
「え?この山積みのを?」
誰かの驚いた声がするが、玉蓮は懐からパッと山吹色の風呂敷を出して持っていく順に上に来るように並べて包んでから、指示された書翰の整理を始める。
「次の者は鴻臚寺に”いつまで経ってもろくに計算もできないのか阿呆が”と言ってこの見積もりを返してこい。それから翰林院に行ってこの書簡を届けた後、太常寺に回って定期見積もりを受け取ってくるように」
「えっと、鴻臚寺、翰林院、太常寺ですね?」
「このぐらいのこと一度で覚えろ」
「申し訳ございません」
真っ青に引き攣った顔で慌てて出ていく。
(この仮面尚書様って本当にあの人なんだよなぁ…紅侍郎や玉蓮には甘いと思ってたけど、仕事は厳しいんだな)
飛龍は合格祝いの会の時のことをぼんやりと思い出していた。
「さて管飛龍、お前は肉体仕事だ、資料室の整理を一刻でしろ。それが終わったら次の用を言いつける」
「わかりました」
「誰か、案内してやれ」
戸部官に促されて資料室に足を踏み入れた飛龍は「これを!?」と驚いた。
かなり整然と整理されているが、横の机案に山積みになった本や書簡が何十冊もある。
「どこに何を保管するかは決まっていますからね、間違いないように入れてください。見取り図はこの書簡の下にありますから、それを見てちゃんと入れてくださいね」
「は、はい…」
(これを一刻で、ってどれだけ急げばいいんだ?)
少し考えたが、手を動かしたほうが早いとまずは山積みの本を下におろし、見取り図通りに並べるところから手をつけた。