第二章〜研修編1
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少ししてから、景柚梨が登城してきた。
「柚梨、お前の差金か?」
「いえ、玉蓮が自ら言い出したみたいで、飛龍くんと状元の馮進士を巻き込んだみたいですよ」
「春麗から何か聞いていたわけでもなさそうだったから…自ら気がついて進んでやったとなれば褒めてやる話だな」
「昨日、玉蓮から聞いたのですが、自分の持ち回り研修の始まりが戸部からになったのは父親がいるからか?って質問が出たらしいんです。その時に、春麗ちゃんから戸部研修で脱落者が出ないことを祈る、と言われたようで、そっちについては帰ってからいろいろ聞かれましたが、掃除の話はしていません」
「そうか…お前もいることだから、玉蓮が使えそうだったらいつも通りとことんまでやるつもりでいるから、そのつもりでいてくれ」
「えぇ、構いませんよ。結構根性あると思いますし、鳳珠にガッカリされないようにしなきゃって意気込んでましたから、頑張るでしょう」
クスクスと柚梨は笑った。
その頃、玉蓮たち三人は吏部の手前まで向かうと、海星が出てきた。
「お!海星!」
飛龍が気がついて声をかける。
「おはようございます。もしかして馮進士も朝のお掃除を?」
春麗の問いに、はい、と答える。
「御三方とも、いい心掛けですわね。この吏部の右手の突き当たりの室で、料紙や筆など仕事で使う道具がもらえます。貰い方は、後で中にいる方の指示に従ってくださいね。この時間にはいらしてますから。今日は戸部の分はわたくしが持って行きますわ。そろそろ特別授業の方に行かないといけませんね」
「はい、ありがとうございました」
三人は頭を下げて「急がなきゃ!」と踵を返した。
「春麗、こんなところで何やってんだよ?」
「あぁ珀明さん。朝から掃除に来ていた進士たちに、備品の室を教えてたのよ。吏部にも一人、お掃除に行った進士がいたでしょう?」
「あぁ、馮海星と言ってたな。今年の状元だろ?」
「えぇ。探花の景玉蓮進士と、管尚書の従兄弟の管飛龍進士と仲がいいみたいなのよ。で、三人で朝は掃除に行ったほうがいいんじゃないかって話になったんですって」
「なかなか骨のあるのが入ってきたな」
「えぇ。馮進士のこと、よろしくね。状元だし、あの二人と仲がいいから変なやっかみみたいなのもあると思うから」
珀明は明らかにうんざりした表情で「いつの時代も変わらないんだろうな、その手の話は」とつぶやいた。