第二章〜研修編1
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翌朝早く、玉蓮と飛龍は戸部の扉の前に立った。
「あ、開いてる」
「スッゲー早いな」
「父様、まだ邸にいたんだよね…」
チリリン、と音がしたのでびっくりしながら顔を覗かせると、誰だ?と声がした。
「あの、本日より研修に入らせていただく、景玉蓮です」
「管飛龍です」
「朝のお掃除に参りました」
礼をしていると「入りなさい」と言われて顔を上げて中に足を踏み入れる。
「ほう…いい心掛けだな」
「黄尚書、おはようございます」
「おはよう。魯尚書の特別授業…皿洗いとかがあるんじゃないのか?」
「まだ半刻ありますので」
「そうか。では簡単で構わないので掃除と料紙の補充を頼む」
「はい!」
道具はそこだ、と示されたところへ行き、箒とちりとりを持って玉蓮が出てきた。
その間に、飛龍は窓を開ける。
「おはようございま…あら?ずいぶん早いのですね」
「「紅侍郎、おはようございます」」
「なんでも、掃除に来たそうだ」
「まぁ。わたくしの朝の役目が取られてしまいましたわね。では、今日は尚書室と侍郎室のお掃除をしますわ」
荷物を自分の机の上に置いてから、春麗盥と布巾を持って外に出ていった。
驚いた表情で春麗が出ていくのを玉蓮と飛龍が見ていたのに黄尚書が気づいて解説をした。
「紅春麗は礼部侍郎だが、ここでは官吏歴は一番下だからな、朝はこっちで雑用を自らやっている」
「そうなんですね」
飛龍は玉蓮が言い出した時に海星が同意した理由に行き着いた気がして、納得して掃除を始めた。
程なくして、春麗が水を入れた盥を持って戻ってくる。
「尚書の机案を先に拭いてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、頼む」
手早く尚書と自分の机案を拭いてから侍郎室の机案を拭き、その後執務室の大机も順に拭いていく。
盥の水を処理して、何処かからか水瓶を出してきた。
「そろそろ二人は持ち場に行く刻限かと思いますわ。行きがてら、料紙や筆を置いている場所を教えておきましょう」
「ありがとうございます」
「黄尚書、ではまた後ほど参ります」
礼をして三人は出て行った。