第二章〜研修編1
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明日から六部研修、という日の夕刻、対象者の三十名を残した。
「状元から第六位の方まで並んでください。第七位の方は状元の後ろに。その後、順次続いてください」
礼部官の指示で進士たちが並んだ。
「縦の列、五人一組でひとつの班になります。第一班は吏部、第二班は礼部、第三班は戸部、第四班は刑部、第五班は工部、第六班は兵部から研修開始です。班は変えませんが、翌週どこに回るかはまたその前日にお伝えします。」
「質問ですが、なぜ吏部、戸部、礼部、刑部、兵部、工部の順ではないのですか?景進士のための優遇ですか?」
(久しぶりにこの手の質問、キター)
玉蓮は呆れた表情で質問したもののいる方を見やると、わたくしから答えましょう、と春麗が口を開いた。
「景進士のための措置、などとは全く異なります。他の部署からの要請もありこの順にしています。それから、六部の中で一番仕事が厳しいのは、正直言って戸部になります。父君がいらっしゃるから優遇される、などと甘い部署ではありません。そうですね…戸部尚書補佐のわたくしとして申し上げるとすれば、上位及第者から脱落者が出ないことを祈るのみですわ。この意味は…行けばわかります」
(脱落者?)
進士たちの頭に疑問符がついていたが、周りの礼部官も、大きく頷いている。
(これは…大変なところからの開始になってしまいましたよ、飛龍くん)
玉蓮は後ろにいる飛龍をチラリと見て目配せすると、飛龍は少しゲンナリとした表情をしてきた。
朝は一刻前に集まっていつも通りの掃除、その後朝礼があってから各部へ行く、という流れになると説明があり、この日の仕事が終わった。
「僕は吏部からでした。それにしても、紅侍郎って戸部尚書補佐もやってるんだな、戸部の仕事いつやってるんだろう?」
「海星くん、頑張ってね。ねぇ飛翔くん、明日の待ち合わせ、半刻早くしない?」
「あぁ?構わねーが、なんでだ?」
「早く行って、戸部のお掃除しようよ」
うへぇ、と言う表情で飛翔は玉蓮を見た。
「お前なぁ、いやでも皿洗いとかあって草臥れるだろーが」
「でも、戸部でお仕事するなら、気持ちよく始めたいじゃない?多分、戸部の上の人は朝早いから開いていると思うんだよね。行ってみてしまってたらやめればいいし、こういうのはやるなら初日からやらないと意味ないし」
「私も玉蓮の意見に賛成ですね。吏部にも早めに行ってみるようにします。宮城の入り口で一度待ち合わせましょう」
「まぁお前らがそう言うなら、いいけど?」
邸が反対側の海星の言葉に、渋々ではあったが飛翔も賛成し、話がまとまった。