第一章〜進士式編
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進士式の後、進士たちは一堂に集められた。
まず、魯尚書が発言する。
「国試は、合格することが目的ではありません。官吏になり、民のために何を為すか。それを常に心に留めていてください。これからの研修の間、仕事ぶりだけではなく、生活素行も全て見られていることを忘れないように」
すでに、進士式での様子もきちんと確認していたため、玉蓮の悪口を言っていたあたりの官吏に厳しい視線を向けながら魯尚書は言った。
続いて、春麗が今後の研修の流れを説明する。
「本日は宮城の見学です。広いので一度に覚えることは難しいとおもますが、大まかにどこに何があるかをお伝えします。明日以降の一週間は全体研修、その後、上位及第の三十名は六班に分かれて、六部の持ち回り研修となります。そのほかの方は集合研修と吏部による査定…吏部試となります。研修組はその間に、全員、課題を最低一つは提出してもらいます。どんな内容でも構いません。研修や各部を見ながら、課題と思うものとその解決策について挙げてみてください。基本はひとり一課題ですが、あまりに大きい内容の場合は、連名での提出も可能とします。提出期限は六部研修が終了する時になります。配属が決まるのは二ヶ月後になります。ここまででご質問は?」
手が上がり、課題はどうしたらいいかを尋ねられた。
「それはご自身で考えてください。どんなものでも構いません。また、課題は一つでもそれ以上でも構いませんし、先ほど申した通り、内容が壮大であれば連名でも構いません。参考までに、私は三つ出しましたわ。戸部に関するものが一つと、礼部に関するものが二つ。そのうちの一つが国試改革です。また、この年は連名で礼部官の不正を暴く課題を出した者たちもおりました」
(昨日聞いた話ね)
玉蓮の表情が少し動いたのを春麗は目の端に留めてから、ふっと息を抜いて軽く微笑んだ。
「まぁ、あの年は特殊だったのであまり参考にならないと思いますわ。尚書も入れ替わりましたから、今は不正をおこなっているような部は”おそらく”ありませんけどね」
春麗はここで話を切って、魯尚書を見た。
魯尚書が前に出て、コホンと咳払いをする。
「今から名を呼ぶ者は、それとは別に朝の仕事を言い渡す。馮海星は沓磨き、景玉蓮は皿洗い、管飛龍は厩番。そのほかのものは宮城の掃除、統括は謝光泉がやるように。」
「えっ?」
三人はポカン、とした顔で一瞬お互いを見合ったが、「かしこまりました」とすぐに三人で頭を下げた。
「いずれも、朝の集合ののち、一刻はそれにあたるように」
「はい」
(ほーじゅ様と春麗ちゃんと同じ皿洗いだ…頑張ろう…)
玉蓮の目はきらりと光った。