第一章〜進士式編
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進士式は定刻前に全員がきちんと集まった。
春麗は自分の時にやられた教訓もあり、集合等を記載した料紙は全て目を通して直接進士たちに渡していたためだ。
「なんか、スッゲーちっこいのがいるな」
「子供なのにね」
どこからかヒソヒソと声がする。
玉蓮がざっと周りを見たところ女人官吏は5人ほど、見た目から春麗より少し上ぐらいの人がほとんどに思えた。
(春麗ちゃんたちの時の状元だという杜官吏もこんな気分だったのかな…)
まだ会ったことがないその人へ少し思いを馳せていると、一人挟んだ隣から「玉蓮」と声がかかった。
「海星くん」
「大丈夫か?」
「うん。あの、謝光泉殿ですよね?よろしくお願いします」
間にいる榜眼の謝光泉にペコリと頭を下げる。
「私は馮海星です。よろしくお願いします」
海星は見た感じ自分より、飛龍より年嵩に見えたその男に、丁寧に挨拶をした。
「碧州の謝光泉です。うるさい奴らもいると思うが、そんなのは放っておいて、やるべきことをやりましょう、よろしく」
(よかった、優しそうな人だ)
安堵の表情がでた玉蓮を見て、海星と光泉は少し微笑んだ。
「む…玉蓮が何やら悪く言われているな…」
「まぁまぁ鳳珠、仕方ないですよ、こればっかりは」
「あら、状元の馮海星っていい男じゃない?」
「三人で何やら話してますね、仲良くなるといいが」
少し遠巻きに並んで参列している六部尚書侍郎が好き勝手話している。
礼部は仕切りなので不在なため詰めて並んだところ、劉志美、黄鳳珠、景柚梨、管飛翔の順になった。
間にいるはずの孫陵王は司馬迅と一緒に反対側の四省の席で凌晏樹と話しており、来舜臣は欠席、代わりに姜文仲がそこにいた。
話しているうちに春麗がやってきて、そろそろ始まるから定位置に、と促す。
孫陵王が戻ってきたので、文仲も自席に戻っていった。
「全く、進士式にまで出てくれって、ちょっと面倒だよな」
陵王がボソボソと文句を言うと、春麗は少し眉間に皺を寄せてから
「今回の研修は六部全てお願いしていますからね、お引き受けしていただいた以上、見ておいていただかないと」
と嗜める。
「へいへーい」
と気の無い返事の孫陵王を残して、鳳珠と柚梨に目で合図して、春麗は持ち場に戻っていった。