第一章〜進士式編
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「玉蓮姫、飛龍様、国試及第おめでとうございます」
乾杯の音頭は春麗がとった。
と言っても、すでに飛翔はしっかり飲んでいたが。
「嬢ちゃん、うちのバカ飛龍に勉強教えてくれたんだってな、ありがとうな!」
ぐりぐりと飛翔が玉蓮を撫でるのを、なぜか黎深がひっぺ剥がして、デレっとしながら代わりに頭を撫でた。
「うっ、わっ!あんな表情の黎深、初めて見たわよ、どーなってんの!?」
志美が文仲と悠舜に聞く。
「どうも玉蓮姫のことを気に入っているようですよ。兄と姪たちにしか興味のない黎深が、進歩したものです…」
悠舜は遠くを見ながら感慨深げに答えた。
「玉蓮は探花か…もう少しで私と同じだったのにな」
黎深が残念そうに言うのを、「惜しかったですけど十分です。ほーじゅ様と同じだし」と玉蓮が笑いながら答えた。
「そこが気に入らん!いいか、宮城で困ったことがあったら、必ず私に報告するのだぞ」
「なんで黎深になんだ?尚書令以下、これだけ高官が揃っているだろーが」
「頼りにならん」
「玉蓮姫、黎深叔父様に相談する前に、柚梨様かわたくしにいってくださいね…」
紅州蜜柑の果実水を渡しながら、春麗はため息まじりに伝えると、玉蓮は「はいっ!」と元気に返事をした。
「なぁ飛翔兄、あの方はなんで仮面かぶってるんだ?」
「世にも類いなきご尊顔なものでな、見る人見る人ぶっ倒れるから面倒でかぶってるんだ」
至極当然の飛龍の質問に、飛翔は雑に答えた。
「飛翔兄はみたことあるのか?」
「ここで見たことないのは飛龍殿だけですよ」
悠舜がしれっと答える
「今、見てみたいって思いましたね?見たら最後、倒れる人が続出です。はっきり言って家庭が持てなくなる場合もありますし、向こう十年間、まともに機能しなくなる可能性がありますが…」
「でも、俺の従兄弟だから、大丈夫じゃねぇか?」
「任官前に倒れられたら困るだろう?」
鳳珠は少しうんざりとした声で言った。
「それもありますね…」
柚梨の少し落ち込んだ声に、春麗はさっと視線を別のところに持っていって少し首を傾げた後、
「でも、珀明さんも大丈夫だったし、飛龍殿もなんとかなるんじゃないかしら?」
と徐に言った。
うんうん、と玉蓮も相槌を打っている。
「春麗,玉蓮…」
鳳珠の一段さがった声に「大丈夫ですわ」とにっこり答えてから、後ろに回って耳元で何か囁いた後、仮面の紐に手をかけた。