第九章〜VS楸瑛
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
公休日明けの朝議の後、そのまま州尹室に呼ばれた珀明と玉蓮は挨拶をして足を踏み入れた。
そこにいた人に、珀明は「あっ」と言って立礼したので、玉蓮も同じようにする。
(なんか…綺羅綺羅さんとは違うけど綺羅綺羅してる…)
玉蓮の中で、綺羅綺羅二号は藍色の服を着ている人、と認識すると同時に、(ということは、藍家の人か…確か十三姫様が兄様と言ってた…ということは、藍楸瑛殿…)と記憶を引っ張り出した。
「久しぶりだね、碧官吏。それから初めまして、景玉蓮官吏。可愛いお嬢さんが官吏で入ってきたと聞いていたのに、ご一緒できなくて残念に思っていたんだよ。ここで会えるとはね」
と玉蓮の手を取って挨拶をする藍色の男。
(綺羅綺羅坊ちゃんではなくて…チャラ男か…)
玉蓮は取られた手を叩くこともせず、とりあえずじっと見た。
「藍将軍、その手はなんですか…」
懐から出した扇を軽くペシン、と自分の手に打ちつけた音を出して一段下がった春麗の声に、「おやおや、怒らせてしまったね」と戯けた表情で肩をすくめた。
「こちら、黄州軍の藍楸瑛将軍です。玉蓮姫は初めてよね?藍将軍は貴陽にいたときに散々後宮女官を泣かせていて、少々、女性を勘違いさせる方なので、甘い言葉には要注意ですよ」
「はい、気をつけます!でも十三姫様が父のことがあるから変にちょっかい出さないんじゃないかって仰ってました」
「ひどいなぁ、春麗殿、そんな紹介するなんて。それに玉蓮殿まで。ところで十三と知り合いなの?」
「はい」
「藍将軍は女人の敵である以外はいい方です。武官としての腕は嘗て羽林軍で将軍もなさっていたぐらいで確かなので、お二人の視察の時にはついていただくようにお願いしました」
「よろしくお願いします」
珀明と玉蓮は揃って頭を下げる。
(これぐらい言っておけば少しは安心かしらね?)
そう思った春麗の目論見は、この先見事に外れることになる。