第八章〜VS◯◯
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黄州へ到着当日、わざわざ朝議の時間をいつもとずらして開催するからその場で紹介と、黄州官吏が多く集まる中に突然二人は放り込まれた。
「お待ちしておりましたわ、碧官吏、景官吏。黄州へようこそ。今日はみなさんへのご紹介も兼ねていますので、いつもより多く集まっておりますわ」
黄州府で一番大きい会堂の真ん中に、春麗は立っていた。
(ちょ、春麗ちゃん、いきなりこれは…)
ちらりと横を見ると、珀明はちっと小さく舌打ちをしていた。
(絶対これ、怒ってるなー)
小さく肩をすくめると、その様子を見ていた春麗がニヤリと笑った。
「碧珀明です。よろしくお願いします」
明らかに不機嫌そうではあったが、体裁は整えて珀明が挨拶をする。
「景玉蓮です。よろしくお願い申し上げます」
玉蓮もそれに倣って官吏の礼で挨拶をした。
「今日はわたくしからの黄州と州府の紹介、明日から一通りの部署を回ってもらいます。その上で、この半年の任務について詰めていきますので、皆さんよろしくお願いいたします」
一同は軽く礼をした。
「では、本日は解散しましょう、お疲れ様でした」
ぞろぞろと会堂から官吏たちが出ていく。
それに合わせて、春麗も階段を降りてきた。
「改めまして、ようこそ黄州へ。といっても、わたくしもまだまだ勉強中ですけどね。櫂州牧がまだ着任されていないので、今はこんな感じですのよ」
「そうか。よろしく頼む」
「お願いします」
「こちらこそ。立ち話もなんですから、移動しましょうかね」
と言いながら、州尹室へ移る。
「おかけになって」
と言いながら、春麗はお茶を淹れた。
「話も長くなるから、お茶を飲みながらにしましょう」
「あぁ、いただく。…なんだこれ、甘いな?」
クスリと春麗が笑った。
「本当、林檎?みたいな甘さ」
玉蓮が呟いたのを聞いて「よくわかりましたわね」と答える。
半発酵のお茶に、干した林檎を加えて淹れたのだった。
「黄州の名産でお迎えしたくて、やっぱりりんごかなと思って」
と春麗は嬉しそうに話した。
「ったく、相変わらずこういう話の持っていき方は上手いよな」
珀明が感心半分、呆れ半分で言った。
それから一通り、黄州の地図を見ながら話をして、州府内を案内してもらった。
時々、女性とすれ違うのを、珀明も玉蓮も目で追っていた。
「中央とは違って、まだ女人官吏はいないのだけれど、侍童みたいにお手伝いをしてくださる方を入れ始めていたらしくて、結構いらっしゃるのよ。今年の準試から女人の募集も始めますわ」
「そうなのか」
「おそらく、他の州も同じだと思いますけどね」
その後、明日からの段取りを確認して、到着1日目は終わった。