第八章〜VS◯◯
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三師の室では想定外に絡まれることもなくさっさと退散し、父親たちと別れた玉蓮は、吏部に戻りつつあった。
前からくるハチマキ姿に目を止める。
(今日はフワフワさんはいない、と)
端により、頭を下げて待つ。
今日も、足が止まったのが見えた。
「黄州に行くそうだな」
「はい」
返事をしてから顔をあげる。
「気をつけて行ってこい」
「はい、ありがとうございます。あ、あの…」
以前から、もし会えたら聞いてみようと思っていたことを言おうとしたが、実際に言い出していいのか少し迷って、玉蓮は一度切った。
「なんだ?」
「あの、以前いただいた
「そうだが」
皇毅は(そういえば陽にかざしたりして見ていたな)とその時のことを思い出した。
「お差し支えなければ、どちらでお求めになっているのか教えていただければと思いまして」
「なんだ、そんなことか…と言っても、あの店に普通に頼んでも作ってもらえない。そうだな…」
懐から同じ紙を出し、筆も出してサラサラと何か書きつけてから、半分に折って渡した。
「松濤河の水門の北側にある料紙を扱っている店だ。店主にこれを見せたら対応してもらえる。初回は少し時間もかかるし値は張るが、私の紹介で少し引いてもらえるはずだ」
「よろしいんですか?遠慮せずいただきます。ありがとうございます!」
「近いうちに寄ると伝えてくれ」
「かしこまりました。ありがとうございます」
軽くお辞儀をすると、それが合図とばかりに皇毅は歩き出したが、一度立ち止まった。
「黄州土産は何か美味いものを頼む」
「はい」
皇毅の背中に返事をし、歩き出したのを見てから玉蓮も歩き出した。