第七章〜VS◯◯
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吏部の前まで戻ると、珀明と春麗が話していた。
珀明の様子は何やら怒っているふうでもあり、春麗は困った顔をしている。
玉蓮に気がついた春麗は渡に船とばかりにそちらを向き、「法案の件、すごいわね」と話題を切り替えた。
「って、あぁ、景玉蓮か…法案ってなんだよ、いやその前にお前のことだろ!」
「?紅侍郎のこと、ってなんですか?」
「こいつ、黄州州尹で異動になったんだ、なるべく早く向かえ、とな」
「エェッ!春麗ちゃ…じゃない、紅侍郎、そうなんですか!?」
玉蓮の目にうっすらと涙が浮かぶ。
春麗はあら、という顔をしてから「泣かないでちょうだい、朝賀の時は戻って来れると思うから」と懐から手巾を出して玉蓮に渡す。
「でも、ほー…黄尚書は…」
(あんなに仲のいい二人なのに、鄭尚書令もなんで…)
「人事のことだからね、黄尚書とは事前に話していたし、大丈夫よ。それに、黄州だから他の土地よりは近いしね。あ、そうだ!いいこと思いついたわ。珀明さんと玉蓮姫のおかげよ」
「僕らのおかげ、って何も話していないじゃないか」
「二人が一緒にいるところを見て思いついたの。このまますぐに尚書令のところに行って相談してくるわ。出立の日が決まったら知らせるからその前に会いましょうね!」
ひらひらと手を振って春麗は小走りに吏部を去った。
玉蓮は後ろ姿を見ながら、「やっぱりすごいなぁ」と呟く。
「あぁ、オレは絶対にアイツらに負けないようにしないとな」
春麗の後ろ姿を見つめながら心の中にもう一人の女人官吏を思い浮かべた珀明の一言は実感がこもっていた。
「でも、寂しいな…」
明らかにガックリと肩を落とした玉蓮に、珀明はかける言葉を探したがうまく見つからなかった。