第七章〜VS◯◯
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玉蓮は呼び出されたいつぞやの四阿に腰かけて、ほぅと息をついた。
”今日の朝議にかかるから、この前と同じぐらいの時間に同じ場所で待っているように”
そう書かれた
(いい紙使ってるなぁ…)
日に当てると、葵の葉の透かし模様が出てきた。
(お家は前の王様に滅ぼされたと聞くし、お金にがめついなんて噂もあるけれど、こういうところにこだわるのはさすが紫門四家の貴族というところかな)
「紙なんぞ陽に当てて、どうした?」
声がした方を見ると、便条の主が立っていた。
玉蓮は立ち上がりお辞儀をしてから「綺麗な紙だと思いまして」と言って、懐にしまった。
「そうか。呼び出して済まなかったな。例の件、通ったぞ」
「ありがとうございます」
葵長官のおかげです、と玉蓮はもう一度頭を下げた。
「にしても…朝議の様子をお前に見せたかったな。吏部に戻ったら何か言われるかもしれん」
「何かあったんですか、やはり、私のような新人が上奏した上に御史台長官がついたから…」
「ま、結論的にはそういうことだが、どちらかというと悪いのはこちらだな。貴族派の中でも特に誰かにつくとは思えん奴が、ということだ。姜文仲に先に王の承諾を取れと言っておいたから連名だと知っていた王ですら何度もこちらを見ていたし、何も知らなかった尚書令や六部尚書はポカンとしてたし、高官たちも阿鼻叫喚の様子だった。」
「そ、そうですか…」
(ただでさえ父様の娘ということで目立ってたのに、さらに悪目立ちしてしまっただろうか…)
「心配するな、すでにお前は父親と晏樹のせいで、十分目立っている。あぁ、だがあの時の浮遊クラゲの顔は見ものだったな、やっぱり見せたかった」
滅多に笑わない皇毅が楽しそうな表情をしているので玉蓮としては戸惑うばかりだ。
「最後には、驚きながらも意図を汲んだ六部尚書が一斉に承認したことで通ったし、まずは尚書令から、となったから目的は達成できた、ということだ」
「そう、ですか。ありがとうございます」
「伝えたかったのはそれだけだ。あぁ、もし何か言われたら、ぶつかって書翰を落とした時に中を見られた上に一緒に出してやると言われた、と答えておけ。朝議でそう言ったから口裏合わせだ。ではまたな」
用は済んだ、とばかりに踵を返して回廊に戻っていく背中に向かい。もう一度「ありがとうござました」とお礼を言って玉蓮も吏部に向かった。