序章〜国試編
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春麗は羽林軍と武官の入れ替えについて詰めた後、礼部に戻ってきていた。
(凌晏樹…旺季殿を王にする企てはあの一件で諦めたと思うけれど、資陰出身の彼が国試受験の後見人をするとは一体どういうことなのかしら?)
「紅侍郎、何やら難しい顔をしているけどどうしたんです?」
魯尚書の声がけでハッと顔を上げる。
少し言い淀んでから…実は、と今考えていたことを伝えた。
「凌晏樹ですか…確かに彼は曲者ですな。旺季殿の件のときも随分色々やっていたと聞きましたからな…」
「まずは武官の側から聞いていきましょう。羽林軍では首を言い渡して吐かせると言ってましらから、その結果を待った方がいいかと…」
「そうしよう。そこでその女人受験者の名前が出たら、凌晏樹に話す、という流れで」
魯尚書の同意を得て、しばらく静観することになったのは止むを得ないが、あまりこちらから直接接点を持ちたい相手でもない、と春麗は小さくため息をついた。
結局、関わった武官は全員クビ、と言い渡すと慌てた武官たちが次々とことの次第を話したため、件の女について本人の聞き取りを魯尚書自らがした上で、後見人である凌晏樹に話に行くことになった。
魯尚書が請け負ってくれたので一任し、結局、受験資格剥奪とした。
ただ、当の女人受験者が、晏樹から景玉蓮と紅春麗の評判を落とすように動けと言われた、ということは、審議の程はさておき、凌晏樹ほどの立場の者が駒の女人受験者に言い渡すと重思えない、ということと、事実だった場合の厄介さに、晏樹にも春麗にも伝えられず、魯尚書の胸にしまわれた形となった。
「全く、何がしたかったのかぜんっぜん理解できないんです」
春麗は少しイライラと戸部でお茶を飲みながら愚痴った。
「玉蓮姫への嫌がらせはなんとなくわかるんです。あぁいう年齢ですし注目はされてますしね」
「凌晏樹は…私への嫌がらせの矛先を玉蓮に向けるべく受験者を仕立てたのかもしれませんね」
鳳珠は「卑怯な奴!」と怒ったが、「あいつならやりかねんな…」とも呟いた。
「でも次々と武官をたらし込んでいたのは、なんだったのかしら?」
「受験のストレスの吐口、だったのかもしれないですね」
「本当は受けたくなかった、とか?」
「かもしれませんねぇ…少し年嵩でしたから、周囲から早く嫁に行けって言われていたのかもしれません。あ、柚梨様、筆と紙は礼部の方から、ということで補充しておきました。でも、同じ棟の藍州からきた馮海星殿と、飛翔様の従兄弟さんがずいぶんと玉蓮姫の世話を焼いてくれているようで、大丈夫そうでしたよ」
柚梨はふっと笑って「あの子は意外と肝が据わってるから平気でしょう」と答えた。
「であれば、その男と飛翔の従兄弟には受かってもらいたいもんだな」
「馮海星は藍州の首席ですから大丈夫かと…飛翔様の従兄弟の方は、白州州試でも下の方でしたから、ぎりぎりかもしれません…奇跡が起きて上位及第に入ってくれないと、研修期間の玉蓮姫が心配ですわ」
「後見は誰だ?」
「姜文仲様です。さっき気になって確認しましたので」
「わかった、玉蓮のためだ、何がなんでも受かれ、と圧でもかけてもらうおう。私も一肌脱ぐか」
その後、鳳珠からの話により、飛翔と文中から飛龍に対して試験合格への更なる圧がかかる文が届き、飛龍が慌てて二人に一発逆転の秘策を授けてもらったらしい…が、果たして!?