4000番メイ様へ
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御史台長官・葵皇毅は、目の前に映る景色にため息をついてから頭を抱えた。
(全くもって、わからない。意味不明すぎる・・・)
目の前には、御史台長官室にしょっちゅう出入りしている猫のようなふわふわな男。
それだけならいつもの景色だ。
だが、その長官室に似つかわしくない景色の元凶である、ふわふわ男の横にいる、謎にキラッキラに着飾った姫を見て、もう一度ため息をついた。
「何、皇毅?ため息なんかついちゃって。幸せが逃げるよ?あ、もうすでにこの世の不幸を全て背負ったみたいな顔して生きてるから、幸せが逃げるのは変わらないか〜」
あはは、と笑いながら猫のような男ー凌晏樹は面白いことのように笑った。
(全く面白くないが?)
「全く面白くない、って顔してるね。こんな美人が目の前にいるのにさ。旺季様の推薦だよ?まさか、皇毅が、断るはずないよね?」
言い当てられた皇毅は眉間の皺を一段深くした。
「いくら旺季様の推薦とはいえ、御史台に深層の姫君は不要だ」
面白そうに笑った晏樹は
「あのお嬢さんみたいな子だったらいい、ってこと?あぁ、メイ姫もかわいそうに…」
とチラリと視線を向ける。
メイ姫、と呼ばれた娘は、晏樹の方に顔を向けて、少し悲しそうに微笑んだ。
「誰がそんなこと言った?旺季様が御史として推薦されたのであれば、そこそこ御史として使える、ということだろう。だが、旺季様の命でも、そんなひらひらと着飾った御史は不要だ。帰れ」
いうだけ言って手元の書簡に目を落とす。
晏樹がまた何か言おうとすると、隣のメイが口を開いた。
「やはり…旺季様のおっしゃっていた通りのお方ですね」
鈴を鳴らしたような声に、皇毅の視線が上がる。
メイがにっこり微笑むと、一瞬だが時が止まったように皇毅は感じて少し息を飲んだ。
「そうなの?旺季様はなんて?」
横から余計な声がして、皇毅ははっと現実に戻る。
「晏樹様には秘密です」
ふふふ、と笑ったメイは、「こちら、お借りしますね」と言いながら、袂から布を取り出しすぐ横の机案敷いて、頭からひょいひょいと簪を外して並べていった。
「あ、ちょっと、メイ姫、せっかく僕が綺麗にしてあげたのに!」
「だから、これが余計だし、私は嫌だと言ったではありませんか?なんで御史になりに行くのに、晏樹様好みに飾り立てられたのか全く理解できないんですけど」
呆気に取られている晏樹をよそに、言いながらあっという間に簪だけでなく耳輪や腕輪も外し、衣に手をかけた。
「あぁぁ!!それはちょっと!!」
晏樹が慌てて叫び、皇毅も「いやそこまでは…」と立ち上がった。
メイは微笑んでから、パサっと衣を脱ぎ捨てた。