黄家家人たちの内緒話
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「春麗様、お着替えの衣を今日は変えましょう」
と鳳凰の地模様の入った黄色い衣に、薄紅梅の薄衣を羽織らせた。
「瑞蘭、どうしたの急に?お客さま?」
「いえ、お客さま、というわけではないのですが…御館様のご指示で」
「そう…どうなさったのかしら?」
春麗が不思議そうな表情をしているのを座らせて、瑞蘭が軽く化粧を直して、髪も結い直した。
それから、鳳珠と春麗はいつものように軽く食事をした。
「一休みしてからで構わないが、昨日、黎深からもらった琵琶を弾いてくれないか?」
「えぇ、もちろん構いませんけれど…どうなさったんです、急に?」
「”秘密の琵琶姫”を独占してみたいと思っただけだ」
「まぁ…”秘密の琵琶姫”は官吏になったときに雲隠れしたことになっていますから、余程のことがない限り現れませんのよ。だから…多分、滅多のことでもない限り、これからは鳳珠様の前以外では弾くことはないと思いますわ」
クスクス笑って答える。
同じ頃、別の室ではーーー
「母様、宿に泊まるって言ってたじゃない?」
「だって、武芸もするお姫様なんでしょ?どんなお転婆を坊っちゃまが気に入ったか、気になるじゃないの?」
「そんなお転婆ではありませんよ?確かに、宮城の噂などから聞いたところ、文武両道ではあるみたいですけれど…」
「先ほど、坊っちゃまにも同じことを言われたわ。さっきはお顔がよく見えなくて残念だったけれど。御館様たちより前にお会いするわけにいかないから、ほんと残念ねぇ。坊っちゃまからは、今日は泊まっていけと言われたから、またこっそり様子を見ようと思っているわ」
華蘭が楽しそうにいうのを、瑞蘭はため息をついてから答えた。
「御館様から指示が出ています。姫様にお会いにならないのなら、今日はしばらくこの室にいてほしい、とのことでした。なにやらお考えがあるようですから、いずれ姫様のご様子が見られると思います。私は仕事に戻りますから、とりあえず室からは出ないでいてね」
食事とお茶を置いて、瑞蘭は出ていった。