7000番 夏様へ
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「それで、あなたから皇毅はどう見えますか?」
今日の悠舜はいつにも増して様子が見えにくい、と春麗は思いながら曖昧に微笑んだ。
この手の質問は躱しにくい上に、どうも苦手だ。
「あまり多くお話をしたことがございませんから、なんとも…」
「以前、紅秀麗のことで礼を言ってくれただろう?」
「なんですか、それは?」
悠舜が興味深げに聞いてくる。
「えっと、それは、葵長官との間のことですから…」
(あまりそういう話には触れたくない…)
春麗はちらりと皇毅を見上げて、曖昧に微笑んだ。
それを目の端で認めた皇毅は少しだけ得意げな表情をしてから
「ま、そういうことだな」
とだけ告げた。
「おや、皇毅にしてはなんとも満足げな顔をしてますね。そんな表情を見るのはいつぶりでしょうか?」
悠舜がおもしろそうに皇毅に向かって意味深な視線を送った。
ここに晏樹がいたら真っ先に乗ってくるところだろう、と思った皇毅は、途端に表情を固くする。
「そう、ですか?」
春麗はじっと皇毅を見つめた。
(あまり変わらないように見えるけど?)
「そうですよ?」
面白げに悠舜は少し笑った。
皇毅の眉間の皺が少し増えて悠舜を睨んだ様子を見て、春麗も微笑んでおいた。
(顔には出ていないと思っていたが、今の表情の違いが紅春麗にはわかったのか?)
皇毅は内心、少し驚いてから視線をそっと春麗に移した。
目が合うと、パチパチと瞬きしてから、優しく微笑まれる。
(この表情は…)
かつてよく見ていた、脳裏に浮かんだ面影をしばらくとどめる。
視線を感じてハッと正面を見ると、大きな黒い瞳でこちらを見つめるリオウと目があった。
(何を、今さら)
小さくため息をついたのが合図だったのか、「もう少し召し上がりますか?」と春麗が徳利を差し向けてきた。
その様子に、再度目を見張る。
「ねぇ皇毅、思い出しません?」
悠舜が何か企んだような視線で話しかけてくる
「何のことだ」
殊更低い声で答えた。
「もし…今のあなたが春麗殿を口説くとしたら、どうしますか?」